あたりまえのことかも知れませんが、中国にも、
・中国や日本を客観的にとらえ理性的に判断できる人、
・日本をきちんと評価し自らの成長の糧とできる人、
・アニメなどをはじめとしたジャパン・カルチャーに心酔する人、
が存在します。
本書は、上記のような見方を含め、中国メディアや中国の人々の様々な「対日観」を紹介しています。
ともすれば、サッカー競技場での無礼きわまる態度や、反日デモなどが映し出される日本のメディアばかりみていると、中国人全員が非理性的な反日観を持っているように感じ、ひいては日本人も極端な中国嫌いになってしまいがちですが、本書を読めば「少し理性的になって中国や中国人をみよう」「中国のよいところにも目を向けよう」という気になります。感情的な中国観を冷まし、理性的に考えることの重要性を思い出させてくれる本です。
その面では、多くの人に読まれるべき貴重な本と思います。
ただ、この本は、次の要素があり、完全に「中国人の対日観の縮図」と言えるかどうかはやや疑問な面もあると思います。
・著者は中国大使館公使(広報文化センター長)として勤務しており、本書に登場する人物も、知識階層であったり、一流大学の学生だったりで、知的階層中心である。
・2007年〜2009年当時は、中国政府の対日姿勢がやや和らいだ時期であり、そのような政府の方針が影響を与えている可能性がある。
・一般住民へのナマの取材はほとんどなく、メディアやエリート層の意見を中心に構成している。
なので、この本を読んで「中国人の理性的判断に全幅の信頼をおこう」などと考えるのは全く危険と思います。
たぶん、「日本メディアで登場する反日感情をもつ中国人」と「この本で記述されている理性的中国人」のどちらも中国に存在し、どちらも真実なのでしょう。