拉致問題などでのタフネゴシエーター、秘密主義で実績をあげる異色の外交官についてもっと知りたいと思い購入したが、最近読んだ本で最も面白いと言えるくらいよかった。著者の外交官としてのキャリアはそのままこの30年くらいの日本外交の軌跡であった。日米貿易摩擦、普天間基地の移転と自衛隊の海外派遣、北朝鮮問題といった外交課題に、著者が1外交官として、それぞれのポストでどのようなことを考え、交渉し、判断していったかが述べられていて、それが本当に興味深く、その交渉のノウハウ、仕事や社会、そして世界を大きい視点から俯瞰し、戦略を立てて主体的に行動するという姿勢を知り、自分の仕事や生き方に活かせるように思えた。新聞や教科書に記載されている外交案件を当事者として小説を読むように体感できた。「国際社会で国力以上の影響力を持てるかどうかは、外交の力による」という言葉が印象に残った。