私が初めて「夕陽ヶ丘三号館」を読んだのは今から40年以上も前、まだ20代の独身時代でした。その頃の私は結婚生活に憧れをもち、時枝音子さんのように大きな商社のエリート社員と結婚
することを夢みていました。そして夕陽ヶ丘三号館のような社宅に住むことにも憧れていました。因みにメゾネット方式というのもこの小説で知りました。あれから時を経て、人生ももう終わりに
近づいた今、アマゾンでこのタイトルを目にし、懐かしさで一杯になってもう一度読み直しました。私の夢は大きく破れ、音子さんのような生活は出来ませんでしたが、社宅での「ごたごた」や山野幸江さんへの何とも言えない複雑な感情を読むにつれ、「ああ、私はあのような社宅族にならなくてよかったのかな?」と思うようになりました。それにしても今青春時代に読んだ小説を読み直すと
いうことは、人生を顧みる機会を与えられ、とてもいいことだと思います。これからも若い頃読んだ小説をたくさん読み返したいと思います。