このソフトが、すでに出ているイギリス盤やアメリカ盤のスペシャルエディションと同じマスターを使っているはず、という前提で以下、書きます。
他の方も書いていますが、このソフトの5.1chの英語音声完全版(と称するもの)は、イタリア語完全版とはラストの回想シーンの音楽が異なります。が、それだけでなく、随所に従来版と異なる箇所があります。それらは私に言わせれば明らかに改悪、改竄の類です。最後の回想シーンの音楽変更はどう考えても解釈の誤り。あれではせっかく盛り上がった情感がしぼんでしまいます。
さらにひどいのが途中の回想シーンで、銃に弾を装填するあの重要ショットの、装填の効果音がばっさりカットされています。友情、裏切り、悔恨等々、この作品のテーマが集約されたシーンであり、あの効果音に主人公の決意が集約されているというのに… 他にも、冒頭の音楽がいきなり妙な編集がされていて、テンポがずれたりしています。
アメリカ盤には「オリジナルのモノラル音声も収録」ということで、モノラル音声が入っていますが、ところがこれは5.1chをモノにした音声であり、オリジナルでも何でもありません。発売元のサイトの情報によると、今回の日本盤にもモノラル英語音声が入るようですが、おそらく同じものでしょう。そして残念なことにイタリア語版はイギリス盤、アメリカ盤同様に入らないようです。
日本語吹替音声はスティングレーの作ったものを使うようですが、この音声は元々は153分の英語版(ラストの回想シーン一切なしバージョン)に合わせて作られています。そうすると、最後の回想シーンの部分の音声を、別の版からコピーして挿入する作業が今回必要になるはずですが、願わくばイタリア語完全版の音声をスピードとピッチを合わせて当てはめて欲しいですね。でも多分、5.1ch英語版音声の該当部分を当てはめる可能性が高そうです。
ともあれ、作品が素晴らしいのは言うまでもないので、未見の方は上記の問題点はひとまず忘れていただいて、ぜひご覧下さい。スティングレー版を持っている人も、画質の向上や豊富な特典があるので買う価値はあると思います。但し、イタリア語完全版音声が入っているスティングレー版を手放すわけにはいかないでしょうが。それにしても、この英語版音声が今後スタンダードになるとしたら悪夢です。ブルーレイのときには本物の、変な細工をしていないオリジナル英語モノラル音声(+最後の回想シーンの音声のみイタリア語完全版から移植)を入れて欲しいですね。
(※以下追記)
製品を確認しました。やはり英語音声はアメリカ盤と同じでした。この新英語音声の改竄点をもう1点だけ指摘しておくと、上でも挙げた重要な回想シーン(開始から2時間16分ごろ)、効果音だけでなく音楽も従来版と違います。メロディは同じでもアレンジがはっきり違う。レオーネとモリコーネがこうしようと決めた物をなぜ変えるのか? 幸い、このシーンの元の音声は日本語吹替版トラックで確認出来ます。なお、特典の「分析:『夕陽のギャングたち』」は新英語版音声の音楽をあたかもレオーネが元々そうするつもりであったかのように受けとめてコメントしているので、変な内容になっていますね。