野呂邦暢という作家の名前は知らなかったのだが、たまたま「小さな町にて」の
書評を読むことがあり、よかったのでこの本を手に取った。
この本は「王国そして地図」「古い革張椅子」「小さな町にて」の三冊の随筆集と
単行本未収録の随筆から、編者の好みで主に古本に関するものを中心に編まれた
随筆集だ。
著者の随筆は速く読み飛ばして読むものではない。じっくりと選りすぐりながら
言葉を紡ぎ出す息づかいのようなものが感じられる文章なので、その速さで
じっくりと読んでいくのが自然でいい。
本、音楽、友、絵・・・静かに書かれているが、好きなものに対する熱い気持ちが
底の方に感じられる。この温度感もとても気持ちがいい。筆写したくなった。
小説もぜひ読んでみたいと思う。それにしても、入手困難な本ばかりのようで
とても残念。今年はこの本の他一冊復刊されたそうだけれど、他の本も復刊
して欲しい。