人類が開いてはいけないパンドラの箱が開いた。
1945年8月6日軍都広島に投下 3日後の8月9日長崎に投下。
広島では14万人死去。長崎では7万人死去。
1945年8月6日をもって5人家族は3人家族になった。
原爆が落とされた時から13年経過した 広島の下町風景から この作品は始まる。
銭湯の場面は生々しい。女性達の身体にのこる被爆の痕跡。
いつ「被爆者」として死ぬのか その不安に怯えながらも何も語らない『被爆者』。
きわめて率直な 作品であり 『被爆者』のその後が 具体的に描かれている。
一言で言えば、『被爆者』として差別されている家族3世代の物語。
原爆投下された者たちは、投下した者の殺意と被爆したことによる自己の身体の異変、更に殺されつつある自己を感じながら生きているのだ。
被爆者とは差別されている人たちであったという実情をこれほど明確に描いた作品は無い。
「死ねばいいという声が聞こえる。自分は幸せになってはいけない。そっちの世界にいってはいけない」
生き残った長女(麻生久美子)が プロポーズした男に語る台詞は辛い。
さらに、彼女は言う。「原爆は落とされたのよ」と水戸に疎開していた弟にもキッチリ言う。弟は「原爆が落ちた」と言ったのである。
この一家の 物語を 長男の娘の目から 再発見させる。
こんなにも 悔しい、無念な生き方をした 一家とそれをとりまく人間模様。
この長男の娘を演じるのは田中麗奈。
彼女は被爆した母の突然死、さらに被爆した祖母の死ぬ姿も生々しく見ているのである。
こんなにも けなげな 娘が 今いるのだ。
一度は 観ておく映画である。
すばらしい完成度。