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夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)
 
 

夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (33件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

戦国時代、土佐におこり、類まれな統率力をもって四国全土を席巻し天下をも窺った長曽我部元親。ついには豊臣秀吉に阻まれ、空しく朽ちてゆく六十年の本格推理長篇
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

英雄豪傑が各地に輩出し、互いに覇をきそいあった戦国の世、四国土佐の片田舎に野望に燃えた若者がいた。その名は長曽我部元親。わずか一郡の領主でしかなかった彼が、武力調略ないまぜて土佐一国を制するや、近隣諸国へなだれ込んだ。四国を征服し、あわよくば京へ…。が、そこでは織田信長が隆盛の時を迎えんとしていた。

登録情報

  • 文庫: 343ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2005/9/2)
  • ISBN-10: 4167663198
  • ISBN-13: 978-4167663193
  • 発売日: 2005/9/2
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (33件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
戦国時代の四国の覇王、長曽我部元親の半生。
一介の豪族に過ぎなかった長曽我部氏が、元親一代で四国全土を席巻するが、その後信長、秀吉という中央政権が出来上がるにつれ、その大きな流れに巻き込まれざるを得なくなる。

文庫版は上下巻に分かれているが、ちょうど上巻は一介の豪族から四国の覇王になるまでの飛躍と発展の前半生、下巻は苦悩と屈辱の後半生という構成になる。

上巻は勝ち戦が多くて痛快な部分が多いが、本書の真髄は下巻にこそあるように思える。秀吉の大軍勢が四国討伐のために上陸するときは恐怖を感じるし、屈辱的なシーンでは、読んでいる自分自身が野望を砕かれたような気持ちになる。

特に、元親が秀吉の軍門に下ると決意したとき、妻の菜々が夫元親の長年の苦労をねぎらう場面では、その静かな描写の中から、悔しさが自分のことのように込み上げてくる。この妻の菜々が物語の中で明るい性格に設定されており、読んでいて心が和まされる。

また、元親自身も単なる英雄ではなく、悩みや性格的欠陥を持った人物として描かれているので、手が届きそうな一人の人間として親しみが湧く。
真田幸村など、負けた者に対して美しさを感じる人にとっては、感動できる作品になると思います。

ちなみに、本書の主人公である元親の子、盛親の物語は、同じ司馬遼太郎氏の「戦雲の夢」で読むことができ、親子二代続けての物語として楽しむことができます。

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形式:文庫
四国の戦国武将・長曾我部元親にスポットをあてた作品。

「名前は知っていても人となりまではよく知らない」という武将の一人ですが、権謀術数を尽くして他国を滅ぼしながらそのことに悩んでしまうナイーブさ、それでいて信長をも恐れず天下を目指す豪胆さがよく描かれていて、感情移入できます。

妻の菜々の性格や行動もさすがに武家の出らしく、後年同国を治めることになる山内一豊を描いた「功名が辻」と同様、戦国の世で出世するにはよい妻をもらうことが必須条件だったことがよくわかります。

個人的には、天下統一よりちょっと前の、全国に武将が群雄割拠している時期のほうが好きなので(ベストは「国盗り物語」ですが)、この本は気に入りました。
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16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By omr
形式:文庫
土佐にしろ、薩摩にしろ司馬遼太郎の描く日本の当時の辺境の地はどこかしら昔日の侍の潔さ、勇気、爽やかさのようなものを感じさせ、つくづく読んでよかった、という読後感を残します。

長曾我部元親は戦に長け、二十年かけて四国を苦労の末に平定し、その挙句に秀吉に土佐以外の領土を召し上げられてしまいます。その間、彼は己の力を信じ、あらゆる戦略・戦術を駆使しますが、常にどこかしら素朴で純粋な自分に対する問いかけのようなものを覚えているところが見逃せません。

戦には優れていたものの、こうした純朴さが一面の甘さとなり、大望を抱いたこの四国の雄は失意のうちに亡くなります。自国が大きくなり、政治というものに向き合ったとき、彼の限界が露呈したということでしょう。しかし著者のこの元親の一種の甘さに対する視線にはひどく優しいものを感じます。
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