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夏目漱石を江戸から読む―新しい女と古い男 (中公新書)
 
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夏目漱石を江戸から読む―新しい女と古い男 (中公新書) [新書]

小谷野 敦
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

近代日本文学を代表する作家で、英文学者でもあった漱石。その作品は、英米文学の受容とともに論じられることが多かった。本書は漱石作品を、人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世草子、人情本、読本のような江戸期の文学と西洋文学との交点に生まれたものとして捉え、比較文学の手法を用いて分析、『坊つちやん』の武士的精神が『虞美人草』以降、恋愛の世界と交錯し、同性関係と異性関係の絡み合いとして、『こゝろ』が生まれる過程を考察する。

登録情報

  • 新書: 229ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1995/03)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 412101233X
  • ISBN-13: 978-4121012333
  • 発売日: 1995/03
  • 商品の寸法: 16.8 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:新書
著者の専攻は比較文学。「もてない男」の刊行で一躍論客として脚光を浴びた。本書は、著者の本業とも言える比較文学の手法で、江戸文化の浄瑠璃、落語、読本等に基づいて、漱石の作品を分析したもの。取り上げられる作品は「坊ちゃん」、「虞美人草」、「三四郎」、「それから」、「行人」、「こころ」、「明暗」。私は全ての作品を読んでいたので、著者がどういう切り口で分析するのか興味津々だった。

「坊ちゃん」は主人公自身が江戸っ子自慢という設定なので比較は詳細に渡る。江戸から明治へと文化が移行して行く中で、むしろ時代に対応している赤シャツの方が勝者であり、「坊ちゃん=滅び行く者」という結論は新鮮。しかし、だからこそ「坊ちゃん」は人気があると思うのだが。「虞美人草」、「三四郎」ではヒロインと「八犬伝」の玉梓、浜路、船虫等とを対比させ、漱石が頭の中では近代的女性観を持ちながらも、体では江戸時代の勧善懲悪的価値観を捨て切れなかった事を主張する。本書中では盛んに「八犬伝」が引用されるのだが、これは著者が「八犬伝綺想」という本を出しているせいもあろう。「それから」の代助に関する考察は鋭いが、江戸文化とはあまり関係がないように思われる。「行人」、「こころ」の純粋心理小説になると江戸文学との比較は意味が無くなる。最後の「明暗」では江戸文化に触れられてもいない。

「江戸から読む」という割には欧米文学もしばしば引用される。これは漱石が欧米文学に通じていた事から当然だろう。また、後半4作は江戸文学との関連性が希薄であり、引用される江戸文学はコジツケの感がある。という訳で、題名には無理があるように思えたが、私にとっては"比較文学論"というのは初の読書体験だったので貴重な経験だった。また、比較文学に捉われなくとも、各作品に対する分析は著者一流の鋭さがあるので漱石ファンにとっては一読の価値がある評論集。
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 簿記受験生 殿堂入りレビュアー
形式:新書
話題になった『もてない男』の著者であるが、私はこの漱石論を先に読んでいた。この本自体は、まじめな研究だと評価できるが、ここから導き出した恋愛論をそのまま現代の善男善女に適用するから妙な反発や共感を食らってしまうのだろう。私自身は『もてない男』や『バカのための読書術』には興味ない。本題に入るが、本書はやはり江戸文学と漱石文学を精緻に分析し、そこに現れる男女関係を共通性を確認し、通底する水脈を辿るという意味で貴重である。留学先でドイツ女性と恋に落ち、親の勧めで日本女性と二度結婚した鴎外なんかはどうだろうと他の作家の事も気になってくる。漱石にとっての「女」という存在。『虞美人草』再考。最近、同性愛小説だと言われ始めている『こころ』にもメスが入れられている。ただもっとも江戸文学の影響を受け、最も重要な『我輩は猫である』に関する研究が一切抜け落ちていることには、いささか不満が残る一冊である。
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8 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書|Amazonが確認した購入
●実は江戸っ子らしくない「坊つちゃん」/家督を乱す美女を書いた「虞美人艸」/「三四郎」はエゴイスト/奇妙なストーリー「それから」/ゲイ小説の「心」

●漱石の主要な作品を「江戸から読む」と称して無理矢理に江戸文芸の世界に押し込めているのが本書である。その解釈は、ことごとく的を外していて漱石作品の魅力をみごとにすくい損ねている。

●江戸文芸といっても著者が引き合いに出してくるのは戯作や浄瑠璃など自分の得意分野ばかりで、とくに漱石の前期作品を読み解く上で重要な鍵となる落語や俳諧の視点を見落としている(幸い、後にこれらは「漱石と落語」水川隆夫で拾い上げられるのだが)。

●「漱石を江戸文芸から読み解く」という目の付けどころは悪くないのだが、中身はまったくズレており、読んでいてこれほどがっかりさせられた漱石作品論は初めてだった。
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