夏目友人帳第3期の丁度真ん中に窪みの様に置かれた祓い屋・的場のエピソード(「人ならぬもの」「祓い屋」)は、全体に夏目とその周
りの妖・人との絆の深まりを描いた本シリーズにおいて若干異彩な空気を放っているが、とても印象深い。
人を守るという目的の下、妖はさらなる強い妖を呼び寄せる「餌」としての存在という考えを持つ的場は、人と同様に絆を深める形で妖
と接する夏目とは180度考えの異なる人物。的場の目的の為に手段を選ばない一連の言動は今までの温かい物語の流れを考えると
かなり強烈に映るが、的場のひんやりとした語り口を声優・諏訪部順一氏が好演する。
的場との出会いにより夏目はどうしても考えの相容れぬ人間がいることを学ぶが、本エピソードの最後、的場の行動に納得のいかぬ様
子の夏目を同じ祓い屋・名取が諭す台詞「ああいう人達もいるというだけのことだ」がとても重い。また今回、本編の一種異様でおどろお
どろしい雰囲気を見事に音に汲み取った音楽の素晴らしさも指摘したい。
収録の他2話が重い雰囲気だけに、最後に置かれたオリジナル「子狐のとけい」に思わず心を解される。第1期でも登場した子狐との再
会話だが、その温かい雰囲気の中でも、人間と妖の歩む時間は異なることを子狐に諭す塞神の存在が印象的で、重鎮・加藤精三氏(
現在84歳!)のゆったり重みある語り口が光る。癒やしの中にも毎回深く刺さる言葉が含まれる夏目友人帳らしいエピソードだ。
最後に特典の紹介を。一つ目は第3期ディスク全巻収納BOX。原作者緑川先生の描き下ろし絵柄による和風収納BOXは従来シリーズ
の描き下ろしBOXシリーズの絵柄と雰囲気が統一され並べるとなかなか良い感じ。
二つ目は妖百人一首カード。本巻で登場する妖を中心に計10枚の可愛い絵柄になっている。
三つ目は今回の目玉、第3期放映前に都内で開催された「夏目友人帳×蛍火の杜へ 〜集い 夏神楽〜」夜(一部昼)の部イベントの様子
を100分超のボリュームで収録したディスク。声優陣に興味ある方は勿論、蛍火の映画に関心ある方にもお薦めの内容。
<特典ディスク収録内容概略>
(出演キャスト)…神谷浩史(夏目役)・井上和彦(ニャンコ先生・斑役)・堀江一眞(田沼役)・木村良平(西村役)・菅沼久義(北本役)
諏訪部順一(的場役)・内山昂輝(ギン役)・佐倉綾音(蛍役)・大森貴弘監督
(収録内容概略)
「夏目友人帳」コーナー…神谷氏と井上氏による朗読・キャスト紹介・出演声優陣による対決ゲーム。
「蛍火の杜へ」コーナー…大森監督・内山氏・佐倉氏による作品概要、主題歌の紹介等。
「お願い、ニャンコ先生」コーナー…両作品の声優陣が集合、ツイッターで募集したニャンコ先生へのお願い事に先生が回答。
面白さは言葉ではなかなか伝わりにくいので、是非ご自分の目で鑑賞し会場の空気を味わって欲しい。