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夏の花・心願の国 (新潮文庫)
 
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夏の花・心願の国 (新潮文庫) [文庫]

原 民喜
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 301ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1973/07)
  • ISBN-10: 4101163014
  • ISBN-13: 978-4101163017
  • 発売日: 1973/07
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 64,384位 (本のベストセラーを見る)
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By カスタマー
 「あの日」について、その場にいて、その目で見た者が自ら惨禍を綴った物語。そのすぐ後に原爆が落ちると後から思い出せば、その日の身の回りのことも、あるいはそれ以前の出来事も悲しみも何故か意味ありげになり、そして激しいその瞬間を生きのびた後は、何もない。ただ透明な虚無に沈み、この世を去るばかりである。遺書のように添えられた詩は、悲しいなどという次元ではない。船に乗り海外へ行く遠藤周作を見送るときには、自分自身がその船に乗っているかのような離人感にとらわれる。すでにこのときに彼の精神は危なかったのかもしれない。
 この本で原民喜を知ったら今度は原爆ドームに行って欲しい。そこに彼の文を記した石碑がある。佇んで見守って欲しい。気がつけば昨今の国際的騒動のなんと愚かしいことか。そういうことを考え、平和について思いを巡らせる手がかりとして、この本を強く推薦する。
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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
みごとな(という表現はおそらく不適切だとおもうが)原爆小説である。
淡々とした描写、客観的な描写。かえって生々しく、過去の現実に目を背けたくなる。
収容の「美しき岸のふちに」(だったとおもうが…)は秀逸である。
泣ける。すべての世代の人へ。戦争を、知らない若者にも。
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
被爆の実体験を持った作家の貴重な記録。
被爆した後の作者から捉えなおせば、八月六日以前の日でさえ滅亡の予感を持って語られ、この本のそこかしこで破滅の陰がちらつく。原爆投下の日々をえがいた『夏の花』三部作も凄惨だが、生き残った者の精神的風景を綴った『鎮魂歌』も鬼気迫った気迫が感じられる。「自分のために生きるな、死んだ人たちの嘆きのためにだけ生きよ」という繰り返し。
「僕は堪えよ、堪えてゆくことばかりに堪えよ。僕を引き裂くすべてのものに、身の毛のよだつものに、死の叫びに堪えよ。それからもっともっと堪えてゆけよ、フラフラの病に、飢えのうめきに(中略)最後まで堪えよ、身と自らを引き裂く錯乱に、骨身を突き刺す寂寥に、まさに死のごとき消滅感にも……。それからもっともっと堪えてゆけよ、一つの瞬間のなかに閃く永遠のイメージにも、雲のかなたの美しき嘆きにも……。」

随所に挿入される、カタカナ交じりの叫びは言語を絶した効果を上げている。〈水ヲ下サイ〉で始まる句
天ガ裂ケ
街ガナクナリ
川ガ
ナガレテイル
  オーオーオーオー
  オーオーオーオー
夜ガクル
夜ガクル
ヒカラビタ眼ニ
タダレタ唇ニ
ヒリヒリ灼ケテ
フラフラノ
コノ メチャクチャノ
顔ノ
ニンゲンノウメキ
ニンゲンノ

解説で大江健三郎が言うように、原民喜はたしかに堪えた。しかし被爆体験と十万を超える被爆死者達から生き残った事実はあまりにも苛酷にして重圧だったのかもしれない。あの凄惨を見据えながら、それに押し潰されそうになりながらも、なお救済を求めてやまぬ姿は心に訴えてこずにはおかない。
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