作者さんの2ndコミックスです。
読み切りが5本収録されています。
どの作品も、思春期の難しい年頃に経験する様々な葛藤や恋愛、人生の苦悩などが
新人さんらしい瑞々しさで表現されています。
ナイーブな年頃の苦しさというか、閉塞感というか、その様なものが
よく伝わってきます。自分が高校生だったのははるか昔ですが、
ページをめくっていると、ふと、高校の廊下に立っている様な懐かしさも感じます。
技術的にはまだまだ荒削りながら、お話の構成が結構良く出来ているなぁと
思いました。何だか説得力があるんです。
主人公の女の子はどの子もちょっと内気なタイプなので(1stコミックスも
大体そんな感じの性格付けです)、どうしてもモノローグが増えてしまったり
お話が何となく暗い雰囲気になってしまうのですが、男の子がしっかり
カバーしてくれています。ちなみに男の子も口の重いタイプが多いかも…
べらべら喋ったりやたら明るいのは私もそんなに好きじゃないので、
私の様な読者にはいいかもしれませんが、物足りない方もいらっしゃるかも。
もう少し色々なタイプの人物を描ける様になるともっと良くなるかな。
各話の詳細は省きますが、5話目『いびつな太陽』が特にお薦めです。
このお話1本で、私にとってこの作家さんがとても印象に残った作品です。
家庭の事情で、都会から田舎の祖父母の元へ身を寄せることになった姉弟の物語。
いつも姉を守ってくれる1歳違いの弟は、実は自分の出生の秘密を知っており、
ひそかに姉を想っていた……と、まとめるとこんな感じになっちゃうのですが、
このお話を取り巻く様々な背景にとてもリアリティーがあるのです。
キャラクター造形や田舎の独特の雰囲気(「都会モノ」を珍しがったり、近所の
目が何かと見張っていたりetc.)、突然聞き慣れない方言や遠慮のない視線に
取り囲まれることになり戸惑う「都会」から来た姉弟…。
なんかもうこの姉弟の感じている居心地の悪さの様なものが、画面を通して
ナマでひしひしと感じられます。
寡黙で、でも姉を守り、想う弟の静かな熱も、よく伝わってきます。
決して明るいお話ではないのですが(※バッドエンドではないです、多分)、
何度も読み返してしまいます。私としては、これは現時点での登田さんワールド
ピカイチのお薦め作品です。
技術的にはまだ荒削りと書きましたが、男女共に、時にハッとする様な
魅力的な表情も描けています(前出『いびつな太陽』なんかは特に)。
画力が上がってくればさらに魅力的な作家さんになるのではと期待しつつ☆4つで。
今の持ち味を失うことなくこれからも描き続けていって欲しいです。