小学生の仲良し3人組のうちの一人の祖母が亡くなり、その葬儀の様子を聞いた二人は「人の死」に興味を持つようになる。
近所に一人暮らしの老人(三國連太郎)が住んでいることを聞きつけ、孤独死の死体を発見するチャンスを狙い、老人宅を張り込むことにする。いつのまにか、老人宅に出入りを許されることとなった3人は草むしりや、家の修理なども行い老人と親密になってゆくのだが・・・・。
故・相米慎二監督の作品では、少年・少女を主役に、そのあふれんばかりのエネルギーを捉えた代表的作品「ションベンライダー」や「台風クラブ」があるが、いずれも非常に難解で、ものすごくアクが強く、クセ球的な作品故、一般向きではなく好きと嫌いがはっきり分かれることが多い。
本作品は「お引っ越し」同様、優れた児童文学を原作としている事もあり、ストーリーのわかりやすさ、登場人物のキャラクターのわかりやすさ等、相米作品の中ではかなり一般向けと言える。星の数はあくまでもエンターテイメントとしての基準なので、他の作品も含め相米慎二の作品ではあまり参考にはしないで欲しい。(笑)
しかしながら、しょっぱなの土砂降りの雨の中でのサッカーの試合や、陸橋の手すりの上を歩くシーン(このシーンをこなした子役の彼の度胸には感心させられる。一応申し訳程度の命綱はあるようだが)、病院の霊安室、台風シーン、プールのシーン、含みを残したラストなど、「相米節」はしっかり残されている。
嵐の夜に老人が少年達に語る、あまりに悲しすぎる戦争体験や死生観・・。老人がなぜ一人ぐらしなのか、重すぎる人生が子ども達にも解ってくるにつれてこちらも感情移入してしまう・・・。
子供達にも見て欲しい名作なのだが、なぜか本作品もDVD化されないまま、VHSが廃盤となっており入手困難である。(原作はロングセラーなのだが)
本作品公開後、相当の年月が経過したが、独居老人や孤独死、親類縁者の態度など、別な問題を提起する作品としても興味深い。
晩年の相米作品には「あ、春」「風花」など死を扱ったものも多く、本作品でも輪廻転生的な独特の死生観が強く感じられる。
なお、本作は震災直前の神戸が舞台となっており、街の雰囲気がその後かなり異なっている。
超大物俳優の三國連太郎さんについては、「セーラー服と機関銃」以来ひさびさの登場だが、説明は一切不要だろう。若かりし日の戸田菜穂の映画デビュー作でもあり、担任の教師兼かなり重要な役回りで好演している。
本作品の主題歌がZARDの「Boy」なのは意外に知られていない。坂井泉水さんも、相米監督同様、幽明境を異にされているのは悲しいことだ。