小学6年の夏、ぼくと山下、河辺の3人は、人が死ぬ瞬間を見てみたいという好奇心から、町外れに住むおじいさんを見張ることにする。一方、観察されていると気づいたおじいさんは、憤慨しつつもやがて少年たちの来訪を楽しみに待つようになる。ぎこちなく触れあいながら、少年達の悩みとおじいさんの寂しさは解けあい、忘れられないひと夏の友情が生まれる。
少年たちがおじいさんから学ぶのは、家の手入れの仕方や包丁の使い方、草花の名前、そして戦争の悲惨さである。物語の終盤、父親に将来の夢を聞かれ、小説家になりたいと答えるぼくは「忘れられないことを書きとめて、ほかの人にもわけてあげたらいい」と語る。少しだけ大人になった少年たちを、目を細めて見つめるおじいさんの姿が目に浮かんでくるようで、思わず目頭が熱くなる場面だ。本書は、他人への思いやりと、世代の異なる者同士が語り合い、記憶を語り継ぐことの大切さを説いているのである。(西山はな)
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65 人中、63人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
一気に読んで、すぐにまた読みたくなる傑作,
By
レビュー対象商品: 夏の庭―The Friends (新潮文庫) (文庫)
無邪気で残酷な好奇心から始まった出会いが、1つの幸せと、大きな悲しみに帰結し、夏の光にさらされた少年時代が終わる。 本のページ数が残り少なくなり、物語の終わりが近づいてきて、この魅力的な登場人物たちとの別れが非常に残念に思えてきた。そしてラスト。通勤途中の地下鉄で、僕は涙をこらえるのにとても苦労した。とても悲しく、だけど満たされた気持ち。 さあ、もう一度、最初から読もうか!
38 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
あたたかい,
キッズレビュー
レビュー対象商品: 夏の庭―The Friends (単行本)
読み終わった後は、「悲しい」よりも「あたたかい」だった。この本を読んでたくさん泣いたのに、 読み終わったら「ああ。いい本だなあ」って。 心があたたかくなった。 読み終わるのに何時間もかからなかった。 目をこの文章から離したくなかった。 いや、正確には「離せなかった」かもしれない。 この本から目を離している時間が勿体無くて、一気に読んだ。 文章中の『もしおじいさんだったら』こう考えることは、 「おじいさんを忘れないこと」「おじいさんと心の中で共に生きていること」につながるのではないだろうか。 児童文学とは思えなかった。 子供だけでなく、幅広い世代に読んでもらいたい。 そして、いつまでも忘れないでいてほしい。そう思った。
23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
確かに「人は死ぬ」ことへの再確認。,
By カスタマー
レビュー対象商品: 夏の庭―The Friends (新潮文庫) (文庫)
かなり前に読んだ本ですが、おそらくこの先一生心に残る物語として位置付けのできる作品。「よく眠るように死んでいるとはいうが、あきらかにおじいさんの「それ」 は眠っているのとは違う」というくだり(記憶)を覚えています。 「人間の死」というテーマを扱いながら、読み終わった後のなんともいえない爽やかさ(?)は 悲しくてやりきれないのに、なぜかやさしい気持ちになるよう。 ちょうど、映画の「スタンドバイミー」のラストの感じを思い出しました。 (発売当初は日本版と言われていた) ただ悲しいだけの恋人や身内の死ではなく、あくまで他人の死であることにこの作品の意味があると思う。
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