その昔、あすかコミックス他で出版された名作たちが次々と蘇ります!
十年程前に手放してしまったのを後悔していましたので、本当に嬉しい。
●籠の中の鳥●鳥人一族の末裔の少年には、「飛ぶ」為の翼がなかった。
(1981) 『君が出るまでに あれだけの血の積み重ねが必要だった…』
弱点と引き換えの異能力…これは『甕のぞきの色』や『二日月』でも語られています。
五感のうち何かが欠けると他が補う、という事を考えれば納得かも。
●時じくの香の木の実●本妻の娘と妾の娘、日向と日影。ふたりの運命を分かつ木の実とは。
(1985) 『それを食べると おまえ達のどちらかが 永遠に年を取らない者になります』
これも強烈な印象を受けたのを覚えています。ラストの少女の背景が怖い。
彼女は『籠の中の鳥』のように「遂に出た稀人」なのでしょう。後日談が読みたい作品。
●二口女●昔ばなしの「二口女」に寄せて、男女のエゴと怖ろしさを語る、嫁き遅れ画家の姪。
(1992) 『あなたはね 3高のうち ひとつでも欠けていれば気に入らない人なのよ』
いつまでも自分を「女の子」と呼び、そう扱われたがる女性…。
出向先の会社にいました。ああだけはなるまい…と思った、まさに反面教師でした。
●化野の…●家々に火が灯る日暮れ時…歩いても歩いても家に辿り着けない女。
(1982) 『さっき日が暮れて…いまはまだ夕食時のはず でも…なんとなくわかる 夜のニオイ』
このような「あの世とこの世の狭間」を描く作品も多いですね。
山岸作品で、砂の上、花の上、石の上を歩く女性たちの話…あのタイトル何だっけ…。
●千引きの石●神話で黄泉の国との境を塞いだ千引きの石。少女が転入した学校にもそれはあった。
(1984) 『変ねえ あそこは古くて使用してないんでしょ 何してるのかしら』
これは大人になった今でも何だか怖いお話です。過去に流された血の上で生活する怖さ。
まあ長い歴史で、世界どこでも何らかの謂れがあると分かってはいるんですけど…。
●鳥向楽●極楽で菩薩に仕えていた迦陵頻伽が罰を受け墜とされたところとは。
(1986) 『記憶が皆無になる日がくる前に わたしは語っておきたい あの煌きに満ちた世界の事を』
地球の進化とともに、仏様たちの名前やポーズに詳しくなれるという不思議な作品。
胎児が進化を速回しするように成長するのって、神秘的ですよね。
●夏の寓話●夏休みに親戚の留守宅を預かる大学生が少女に出会う。その街の名は、ヒロシマ。
(1976) 『こわい こわいよ 火がつくよ 火が!! 髪に…髪に火が… 手が 足が燃えちゃう』
内容も素晴らしいですが、この作品に添えられた詩は忘れられません。
広島の少女を主人公に外国の方が書いた詩、という所が反戦運動の広がりを思わせます。
●パエトーン●人間の分際を忘れ死した神話のパエトーンと、核を手にする現代人の相似性。
(1988) 『これは遠い昔 神になり代われると思い上がった若者の 愚かな物語です』
私はチェルノブイリ事故当時12歳。死の雨が降ると言われ、傘を手放さなかったものです。
現在は「現状で一番安全な方法」と地中埋設されている廃棄物、怖ろしいの一言です。
●夜の虹●山岸先生が体験した気象事象あれこれを描いたコミックエッセイ。
(1989) 『ここまできますと 乗客も息をころしてしまい 車内はシーンとしてしまいました』
彩雲、台風の目、三重の虹、日暈、雪の華が著者の体験として描かれています。
未体験なのは夜の虹(白い)、竜巻、ダイヤモンドダストだそうです。