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5つ星のうち 4.0
記憶の扉の奥で眠る罪,
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レビュー対象商品: 夏の夜会 (光文社文庫) (文庫)
クリスティ『スリーピング・マーダー』を範とした《回想の中の殺人》テーマの作品。小学生時代に起きた女教師の殺害事件を、30年ぶりに 再会した同級生の女性と探っていく、といった物語です。 作中では30年前の事件を巡り、議論が重ねられていきますが、その度 に、各人の記憶違いや、思い込みがあぶり出されていくことになります。 ところで、人間の記憶の確実性を大前提とする本格ミステリという特殊ジャンルにおいて、 記憶の恣意性や曖昧性をテーマにすることは、作者自身も述べているように、自己矛盾 であり、その試み自体が、大きな恣意性に依拠した危ういものです。 したがって、本作を読んで、登場人物たちが、殺人事件といった重大な事柄にまつわる 情報を間違って記憶していることに違和感を覚えたり、ご都合主義だと感じる読者がいる のは、至極当然だと思います。 ですから、いっそ本作は、「特殊ルールが支配しているゲーム的 空間」と割り切ったほうが、誤解がなくていいかもしれませんね。 その前提に立てば、作品世界内での因果関係の整合性は保たれていますし、 事件の真相も、結末できちんと提示されています(そのあたり、同様のテーマ を扱うことが多い恩田陸氏が、オープンエンドの幕切れを採用するのと対照的 で、両者の作風の違いがうかがえ、興味深いです)。 前述したように、本作の設定は、若干人工的ではありますが、その一方で、 記憶は〈常に現在に於ける本人の思い込みが投影される〉ものであり、他者 の影響で容易に変異する流動的で相互認識的なものであることは、紛れも ない真実です。 そのことを踏まえ、自己を省みた時、きっとどこかに、都合良く消し 去った記憶を眠らせたままにしてるんだろうなあ、と思えてきます。
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5つ星のうち 3.0
不確かな記憶,
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レビュー対象商品: 夏の夜会 (カッパ・ノベルス) (新書)
参加した同窓会の席で30年前の事件が口を開ける。不確かな記憶が、事実を浮かびあがらせ、不確かな記憶から生まれた事件がどんどんと様子を変えていく。推理小説という形態をとっているので、主人公の小学校時代に起きた一つの事件の事実をどう浮かびあがらせるかで物語の魅力はかなり異なってきます。個人的にはこういう不確かなどんでん返しが続くやり方もありかなとは思います。 最近では、恩田陸さんの「猫と針」もこういった趣向でしたが、あちらのように最後まで不確かなままというやり方もある気がします。
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5つ星のうち 4.0
記憶の曖昧さ,
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レビュー対象商品: 夏の夜会 (カッパ・ノベルス) (新書)
この作者の小説は、SF設定のパターンと、日常の事象を論理で語っていくパターンとがありますが(あ、後者と見せかけ前者というのもありますね)この本は後者かな。中年の主人公達が、小学校時代の思い出を語っているうちに、いつの間にか当時思い出せなかったことが浮かび上がることにより、展開が180°異なっていきます。 そこが、ご都合主義に見えるかもしれませんが、私は逆にそれが面白く感じました。
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