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変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)
 
 

変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1) [文庫]

カフカ , 丘沢 静也
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

家族の物語を虫の視点で描いた「変身」。もっともカフカ的な「掟の前で」。カフカがひと晩で書きあげ、カフカがカフカになった「判決」。そしてサルが「アカデミーで報告する」。カフカの傑作4編を、もっとも新しい<史的批判版>にもとづいた翻訳で贈る。

内容(「BOOK」データベースより)

家族の物語を虫の視点で描いた「変身」。もっともカフカ的な「掟の前で」。カフカがひと晩で書きあげ、カフカがカフカになった「判決」。そしてサルが「アカデミーで報告する」。カフカの傑作4編を、もっとも新しい“史的批判版”にもとづいた翻訳で贈る。

登録情報

  • 文庫: 180ページ
  • 出版社: 光文社 (2007/9/6)
  • ISBN-10: 4334751369
  • ISBN-13: 978-4334751364
  • 発売日: 2007/9/6
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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31 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 リテラルな名訳, 2007/9/14
レビュー対象商品: 変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1) (文庫)
池内版の後に訳すというのはかなりの根性ですが、
訳者は原文の「犬」として訳すという後書きにある態度を徹底することで、
カフカの異様さをすくい上げてます。
ある意味、翻訳ソフトの訳のような異様さ(けなし言葉ではありません)。
「判決」のあまりにも有名な最後の一文の新訳を見るだけでも価値があります。
カフカは意図的に時制を混乱させている、ことがはっきりします。
名訳。池内版に敬意を払いつつこれも是非。
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26 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 よりカフカに近い翻訳, 2007/9/15
レビュー対象商品: 変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1) (文庫)
収録作品は『判決』『変身』『アカデミーで報告する』『掟の前で』です。
クラシック音楽でピリオド奏法が受け入れられていることを受け、
翻訳するに当たって丘沢氏は「相手の流儀をまず尊重」(168頁)するとしています。
そのため本書は史的批判版カフカ全集を底本としています。
この版は、現在のところ、カフカの書いたものが
最もそのまま提示されているとされます(164頁)。

全体として一文一文は短く区切って訳されていて、リズムカルです。
しかし、本書の魅力はこれまでの翻訳でカットされていた箇所
がしっかり掲載されている点です。
例えば、「訳者あとがき」(178頁)によると『判決』(23頁)の
今までカットされていた「答えが質問に衝突したのだ」
という一文が掲載されています。
このように、これまで削り取られていた箇所を掲載したことで
読者の側に時間的な余裕が生まれ、他方で登場人物の心情の変化が
今まで以上に分かるようになったと思います。
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5つ星のうち 4.0 看板に偽りあり!!, 2012/2/2
レビュー対象商品: 変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1) (文庫)
本書の売りは、最新のドイツ語カフカ全集である<史的批評版>を底本とした
「ピリオド奏法(オリジナルに忠実な訳)」ということですが、
この<史的批評版>の特徴は、
一方の頁にカフカのノートをそのまま写真による図版で示し
他方の頁にそれを、カフカが描き直した部分もそのまま
活字にして、掲載しているという点だそうです
(訳書p166-7に写真が掲載されています)。

したがって、カフカの創作過程を知ることができる
というところにその魅力があると思われますが
この訳書で、それを窺う術はありません。
それを示すためには、組版や註で示す必要がありますが
本書にそのようなものは一切ありません。

カフカの創作過程に踏み込んだ詳細な註をつけるには
カフカの専門家である必要がありますが
恐らくこの訳者にその力量はないのでしょう。

次に「ピリオド奏法(オリジナルに忠実な訳)」という点についてですが
訳者は、カフカが同じ単語を繰り返しているところは、
訳文でも厭わず繰り返すことで原作に、より忠実な訳文になっていること
を謳っていますが、そんなことは独文科の学生でもできることです。

解説で訳者は、カフカが『変身』を出版した際、
「版元は、虫になったグレーゴルの絵を表紙につけようとしたが
当然、カフカは拒否した」というエピソードを紹介しています(訳書p157)。

訳書p39で、虫になったザムザがベッドから出ようとするところで
「下半身」と訳されている部分は、原文では"der untere Teil seines Korpers"
となっています。直訳すれば「彼の身体の下の方の部分」ですが、
カフカは、ドイツ語で「下半身」を意味する"Unterkorper"ではなく
わざわざこのような書き方をしています。

ドイツ語の辞書で"Unterkorper"を引いてみると、
"der untere Teil des Korpers"「身体の下の方の部分」とあり
カフカが虫になったザムザの下半身を表現するのに
辞書的な定義を採用していることが分かります。
つまり、ここで虫になったザムザは、それが下半身かどうかは分からず
単にそれが自分の「身体の下の方の部分」としか言えない
ということを示していると思われます。

これは、あらかじめ変身した虫の姿のイメージを知ることなく
ある日突然訳の分からない虫に変身してしまった主人公の体験を
読者に共有して欲しいという、表紙に虫の絵を拒否したことと同じ
カフカの意図が働いていると思われます。
しかるに、それを単に「下半身」と訳してしまったのでは
訳者の頭の中にあらかじめある、変身した虫のイメージを読者に押しつけている
ことになってしまうのではないでしょうか。

p38の「お腹をふくらませ」て、毛布を落とすというところも
原文ではaufrichten「(空気で)ふくらませる」のは、sich「自分自身を」であって
とくにお腹と断っていません。
人間が寝るときは大抵毛布はお腹に掛けるものだというだけです。
第一、息を吸って膨らむのは(人の場合)胸であって、お腹ではありません。
もっとも昆虫は腹部にも気門があるので、膨らませるのかも知れませんが
朝、目が覚めたら突然虫になっていた元人間に
どうしてそんなことが分かるのでしょう。

以上、長々と述べましたが、
出版社の誇大広告と訳者の鼻息を除けば、
カフカの作品が楽しめる文庫になっていると思います。
代表作の『変身』だけでなく、『判決』や『掟の前で』のような
有名な作品も収録されており、白水Uブックスや新潮文庫の『変身』より
お得だと思います。
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