またしてもやってしまった。今度こそ面白いかもしれない、そんな淡い期待は儚く打ち砕かれた。
とにかく物語が流れていかない。くどくどとまわりくどい描写が書き連ねられ、馴染みのないカタカナ専門用語の羅列もあって、何が言いたいのかさっぱり解らず何度か読み返す個所もいくつか。
社会も政治もテクノロジーも、シリーズ創刊当初よりはるかに複雑になっている現代社会においては、仕方のないことなのかもしれない。
でもそれ以上に、作者にはもう書きたいことがないのではないか、それを埋めるために、取材で得た専門知識をこと細かに書き連ねている、そんな気がする。過去のトラウマやエピソードなども、取って付けたようで無理矢理感が否めない。
登場人物たちも生彩を欠き、変にステレオタイプな枠にはめ込まれていて、スカーペッタシリーズである意味が感じられない。いっそのことCSIでやってくれちゃった方が、ストーリーに集中できて話が早いとすら思う。
「黒蠅」以前の作品は、タイトルを見れば物語も登場人物も、そして毎回のお楽しみの料理のメニューまでありありと蘇るのだが、それ以降の作品はどんなテーマだったのかすら思い出せない。
シリーズ創刊当初からのファンとしてはそれがとても寂しくて、新刊が出るたびに「今度こそは」と期待を込めて読むのだが、やはり今回も残念な結果に終わったというのが正直な感想。自分がスカーペッタに★一つを付ける日が来るなんて。