エンタティンメント色が強くなった80年代ホラーとは違い、70年代のホラーには、アメリカン・ニューシネマに通じるようなリアリティーや殺伐さがあります。本作はB級(あるいはC級)ホラーですが、エンタティンメントとして中途半端なところが妙なリアリティーとなって、70年代のテイストを強烈に感じさせます。父親をひき殺し、自分の片手も失ってしまう陰惨な子供時代から映画は始まり、とにかく主人公は出会った人々をことごとく殺します。殺人鬼とか、変態とかいうわけではなく、殺した母親と義父の幽霊(あるいは幻想?)から逃れるために、あるいは、自分の欲望のために行き当たりばったりに殺していくので、話にまとまりはありませんが、展開がスピーディーで飽きさせません。母親と義父の幽霊の描写は日本的でもあり、後の「死霊のはらわた」みたいでもあり(たぶん影響は与えていないと思いますけど)、なかなか怖いです。ラストは「X線の眼を持つ男」ですね。主人公がヒッピーみたいな女(娼婦?)を監禁するくだりは意外に緊迫感があって、狂気が加速していくのがスリリングです。これは拾い物でした。70年代のジャンク・ホラーが好きな人には楽しめるのではないでしょうか。