冒頭の短篇「彼氏島」を読み始めて、まず思ったこと。それは、岸本さんの訳の生きのよさ。文章に血が通ってて、こなれてて、すっすっと頭に入ってきてイケてるなあと。最近、こうした外国の現代小説から遠ざかっていた私にも、とても読みやすかったです。
本アンソロジーを作ったいきさつについては、「編訳者あとがき」でこんなふうに紹介されています。
<愛にまつわる物語でありながら、普通の恋愛小説の基準からはみ出した、グロテスクだったり極端だったり変てこだったりする小説。そういうものを「変愛小説」と名づけ、『
変愛小説集』というアンソロジーを出したのが今からちょうど二年前のことだった。(中略)ところが一冊出してみると、私の変愛欲はおさまるどころかさらに加速した。(後略)> そうしてできたのが、この本という次第。
英米の作家の短篇が十一、収められています。かなり気に入った作品、全然受け付けなかった作品と、玉石混交のアンソロジーだったけれど、わたくし的にイケてて面白く読んだ作品は、「スペシャリスト」「私が西部にやって来て、そこの住人になったわけ」「ヴードゥー・ハート」の三つ。特に真ん中の、主人公が冬、モンタナにやって来てチアリーダーたちを探す物語がよかった。最初のうちは「なんじゃこりゃ?」って“変”な、わけ分からん展開なんだけど、途中から“愛”のともしびがまたたき出すみたいな、まあ、そんな話。読み終えて胸がほっこり、あったまりました。
こういうアンソロジーも妙な味がなんとも言えずユニークで面白いけど、岸本さんの本では、『
気になる部分 (白水uブックス)』や『
ねにもつタイプ (ちくま文庫)』のエッセイ集もすっごい好き! エッセイ集の第3弾、楽しみに待ってまーす。