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変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫)
 
 

変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫) [文庫]

木村 俊介
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

本書は東大教養学部の立花隆ゼミ「調べて書く、発信する」から生まれた。ゼミの一員だった著者は、ネット上の仮想大学に「埴谷雄高サイバーミュージアム」という膨大なページをつくり、巨人の実像に迫った。巨編『死霊』の作者をよく知る27人に徹底的にインタビューし、生前の埴谷雄高を生き生きと蘇らせた。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

木村 俊介
1977年、東京都生まれ。東京大学卒業。週刊文春で「仕事のはなし」連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 420ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/3/10)
  • ISBN-10: 4167764016
  • ISBN-13: 978-4167764012
  • 発売日: 2009/3/10
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
若い世代の著した聞き書きの最高峰のひとつに数えあげられる名著です。著者の木村さんより少し上の年代として、このような書物を待ち望んでいました。

さて、立花隆さんの序文にもあるように、木村さんは全文を5回は書き直している、その実り、息遣いが、行間から立ちこめてきます。また、副題も評伝ではなく「肖像」としているところが控えめに的を射ていると思います。

中身について僕がとりわけすばらしいと思ったのは、木村さんの学生時代の問題意識が質問にぽつりぽつりと現れてきていて、それが嫌味でなく、とても質の高い切実さを伴っていることです。抑制が効いていますが、僕にも覚えのある人生問題に対してとても率直なんですね。そしてまた対象の作家先生方も木村さんの質問に、それぞれの芸風を彩りとして添えながら、誠実に、的確に、歯切れよく、先達として精一杯の対応をしていることが読み取れる、ことです。

これはインタビュアとしての木村さんのお人柄なのでしょうね。同時に、こうした先達と接することのできた木村さんは幸せだなあと、うらやましく思いました。書いて成長するってこういうことなのですね。

そう、こうしてレビューを書いていて思ったのは、この本は「知性とコミュニケーションにおける誠実さ」があふれているということです。薫陶、というのかな。ほんとうにいい本です。僕は木村さんのファンになりました。

そうして、そのような木村さんを生んだことが埴谷さんの「まわりの人たちを励まし、勇気づける」美徳の、最後の、最高の仕事になったのでしょう。
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形式:文庫
インタヴューを通じて、一人の人間の人となりを現す手法によって、立ち現れた埴谷雄高は、書くことに人生の時のすべてを投じた方のようでした。作家は、書くという行動、書くという経験によって成長してゆく人生を選んだ人間なのでしょうが、しかし、一方で、ただの言葉や思想のつらなりを、つらつら書いて実人生を過ごすという、時をいたずらに蕩尽して仮想の人生を生きて一生を終えてしまう危険もはらんでいます。作家とて、生身の人間で在る以上、実人生の私的生活の大波小波は体験するのでしょうが、書いて書いて書いて終える人生は、一体、実際に生きた人生といえるのだろうか、よくわかりません。本当に生きるとは一体、どういうことなのだろうかを、考えさせる作家の生きざまでした。
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形式:文庫
ほとんど理解不能だった『死霊』の作家、埴谷雄高を巡って20数人の作家や縁者などにインタビューしたものをまとめた1冊。親本は99年の刊行であり、インタビューに応えた側は、既に鬼籍に入った人も少なくない。
著者の木村は東大教養学部の立花隆ゼミの課題として、埴谷に関するインタビュー集を構想したようであり、完全な黒衣に徹した姿勢がこの本を類書にはない面白いものにしている。

興味深かったのは、やはり鶴見俊輔や小川国夫、吉本隆明といったところだが、井の頭公園近くの埴谷行きつけの喫茶店のマスターや面倒を見てもらっていた隣家の夫婦、最晩年を看取った家政婦さんの章が面白い。食い物の好き嫌いが多く、一旦旨いと思ったウナギを毎日のように食し、つくってくれる人に悪いからと食いたくないものを隠れて捨てる、埴谷の人がいいボンボンの性質がはっきりと語られている。また、山口泉の極めて真摯な発言には、このインタビュー集に収まりきらない巨大な問題が提起されている。

抜群に面白かった大岡昇平との対談『二人の同時代史』(岩波書店)で、埴谷は「饒舌ボレロ」と自称するほどのおしゃべり好きであることがわかったが、野菜ジュースはフルーツミックスじゃないと飲めないなどというおかしさも含めて、本書の「発見」は多いに楽しめた。

では、『死霊』でも読んでみますか。
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