テレビで見る中国政府のスポークスマンの固くて生真面目で紋切り型のコメントや服装、一方で、ときどきテレビに映る上海や北京の街頭や商業施設とそこに集まる市民の日本とあまり変わらない風景やファッション、また、何かの機会に会って話す中国人の比較的柔軟な考え方、これら政治と市民の間にある落差の大きさに違和感を持っていた。また、日本国内のメディアでの中国市民に関するニュースのほとんどは反日的な内容であり、一方で、サーチナなど中国メディアの日本語サイトでは、気恥ずかしいほど日本人と日本社会を持ち上げた記事や中国市民によるコメントがある。本書は、このような違いについて、主に、テレビ、インターネットというメディア上のエピソードに基づいて、近年の中国社会の動向を紹介している。この中で特に印象的なのは、著者が現地で直に見聞した、「八〇後」という1980年代生まれなどの若者を中心とした新しい中国市民の動向である。それ以外にも、中国に関して日本人が持っている先入観をくつがえすような内容が多く紹介されている。中国人は反日的でよく分からなくて、付き合うとしたら用心しながら、という印象を持つ普通の日本人にとっては新しい中国の姿が見える内容だと思う。新鮮な印象をもった。