だいぶ昔に面白く読んだ記憶があり(角川文庫だったかな)、創元推理文庫から再刊されたのを機会に読み直しました。
冒頭にいきなり「デムパ」な文がおかれています(あの頃流行ったなあ)。やがて開幕する物語は架空の街での連続殺人で、本来凄惨なお話のはずなのですが、何といいますか、緩い感じがします。
登場人物はどこか社会の本筋から外れていて、脂ぎった生き方をしていません。例えばヒロインは盆栽好きなシングルマザーですし、登場してくるその同級生も出世街道から落ちこぼれた人たちです。手がかりないし伏線の提示法と解決法も何か日常の謎系の作品を思わせるものがあります。
このような「日常の謎」系筆致と犯人像や事件の凄惨さとのアンバランスさが魅力ですね。主に探偵役の人物像に見るちょっとした闇の描写も見事です。