中学生の時だった、読んだのは。もちろん自分の電話なんてありはしない、黒電話の頃。誰かが、電話の向こうで、知らないところで自分の声も相手の声も聞いていて、何もかも知っている。世界中の人の声を聞いていて、何もかも知られている、本当は・・・。というその未来社会の設定に、非常に驚かされた事を覚えています。そして、機械が進化し、考え、試行錯誤し、人間に忍び寄ってくる姿に・・・。
まだ、当然ノートパソコンどころか、家にはラジカセも無く、オープンリールの時代。モバイルなんて事が想像も付かない日常生活の時代。機械化された未来の情報社会が持つ、コンピュータ社会の問題点、犯罪、落とし穴、情報操作の恐ろしさ、そういったものを既に「お見通し」だった眼力に、ただただ恐れ入ります。その、皮肉な視点と鮮やかな切り口に。
淡々としたショートショートSF第一人者の語り口は、冷静な描写で主観を入れずに、ネットワーク社会の様相を「声の網」と評して描いています。この秀逸な題名にも、今もうならせられる名作です。若いSFファンなら是非一読を、星新一を知る往年のファンなら再読をお勧めします。