短歌、俳句は日本人の常識、と思われているのと裏腹に、万葉集以来の名短歌10首を挙げてみよと言われて誤りなく口をついて出る歌は、私の場合4、5首しかないという体たらく。本書は、佐佐木幸綱という、恐らく当代最良の監修者を得て、1300年の歴史上に詠まれてきた名作100首が選歌・収録されている。解説もよい。「声に出して」と題されているように、女優・檀ふみさん朗読のCD付。季節・男の恋・女の恋・旅・命・家族・国・酒・青春・老と今更ながら詠われる幅のひろさに、短歌と日本人の係わりの深さを感じ取れる。俵万智さんの<「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日>が名作として選歌されているのは、新鮮な驚きであり喜ばしくもある。