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なぜ彼女が「AC」になったのかは、この「声だけが耳に残る」というタイトルが説明してくれる。主人公がダメダメ人間でおちゃらけたことばかり言っているから、はじめは深刻さがリアルに伝わらないが、タイトルの深さを知ってしまった瞬間、この作品はぐっと重みを増す。
最後はうまくまとまりすぎた気はしたが、うまく生きられない人にはその理由がしっかりある。「心の問題」って表面状はわからないから、理解も得がたい。それがしっかり伝わる作品ではあります。
SMを通しながら、何かを模索している。
故に、乱交パーティにも参加したりするが、そういう色気はこの文体には無い。
日常化した暴力に蝕まれた身体と心を持つACを、この本を読むことで痛切に考えさせられた。
池田小の事件を起こした宅間被告、宅間被告の感情を理解出来、宅間被告に成り代われると言う主人公。
それは『山月記』を通しても語られる。
己の「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」ゆえに志を果たせず虎になる李徴。
何かのきっかけで怪物になるかもしてないACの心情は、こんなにも脆く繊細だが、怪物になりうる恨みや暴力への過剰な反応がある。
日常化した暴力は、被害者へ身体の傷だけでなく、精神への支配をももたらすことが本書を通じて痛切に感じた。
人格を認めてもらえない人生は、やはり哀しい。
渾身の作品に出会えて良かったです。
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