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私自身、リハビリテーションの現場で脳梗塞、脳出血後の後遺症がある人たちと毎日のように関わって10年が過ぎ、上司の先生から本書を薦められた。高次脳機能障害を負った人たちの症状は彼らの訴えをはじめ、障害として検査をしたりして鑑別をし確認できたり、病院内での行動、生活の様子でとらえることが多かった。本書を読み、障害を負った人たちの苦悩に自分が誠実に傾聴してきたか疑問を感じた。著者は障害を負った後、ペーパードライバーのコースで、クランクはうまく出来るが直線コースが難しい、その理由なども述べられている。そんなことがあるのか、と知らなかった自分を恥じた。
とはいうものの本書の「おわりに」を読でいるところで涙がこぼれた。知らないうちに顔が熱くほてっていたのに気づいた。本書の内容は、解説で山鳥先生が「重篤な右頭頂葉障害患者さんの貴重な手記」とされている。高次脳機能障害の障害、空間性認知、記憶、言語、注意の障害が障害を負った人の内面から描かれ、自ら医師ゆえの分析もされ、生々しく伝わってくる。
と、同時に彼女の生きる姿勢が読み進むうちにこちらもリアルに伝わってくる。行間からはさらけ出される彼女の苦悩も伝わってくる。正直に吐露されていたりする。一方で、前向きに人生を肯定的にとらえようと努力され高次脳機能障害のリハビリテーション、医師としての復職、子育てとエネルギッシュな方だ。また息子さんとのやりとりも、母である彼女の思いを知るとほろっとした。彼女の生きる姿勢に尊敬の念を抱かずにいれない。
全編を通して前向きでユーモアに満ちた明るい姿勢が貫かれていて、リハビリに取り組む人には障害へ向き合う姿勢を示唆し、一般読者には元気を与えてくれます。一方で、今も老人保健施設で医療に携わる立場から、認知症などに対する社会環境や医療現場、家族やセラピストへの提言も多く含まれています。リハビリのためにクルマの運転や速聴速読、百マス計算にまで取り組む著者のバイタリティに感服する一方、脳機能障害は、「ガンバレ」と言われて「ハイ」と頑張れるようなものでもないという難しい面があることも教えられます。
脳科学に関する本を何冊か読んだ流れで本書を手にし、自らの障害を対象化し科学的に捉えた内容に興味深く読み進みましたが、最後にこの本が出来上がるまでの長い道程を知り、さらに著者が息子に宛てた手紙を読んでジ~ンときました。
頭のいろいろな部分に電気刺激が走り、日々頭痛を感じました。
視力だって脳が見ているのだな、
人間の体って、悪い部分を補おうとするんだな、と感じました。
その後私は手術に成功し、正常な視力を取り戻しましたが
病気は私にとって良い体験になったと思います。
この本の作者と私は偶然同い年ですが、
病気に対する前向きな姿勢、
飽くことのない向上心、
でもユーモアがあって、
お医者さんという気難しいイメージのない、
気さくでヒューマニズムに満ちた感性に好感を持ちました。
お子さんに対する大きな大きな”愛”にも
大いに共感しました。
山田さんご自身だけでなく、お子さん、ご家族にとっても
生きていく力となる宝物のような本だと思います。
陰ながら応援したいな、と思い投稿しました。
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