タイトルどおり、本社の壁をぶち抜いたり専用机を一人残らず取り上げたり・・と(果たして我々の職場にに応用が利くのか
分からないほど)凄いエピソードも満載です。
しかしながらその行動力に裏打ちされた鋭く、しかも透徹した彼の<視点>こそがこの本の真骨頂でしょう。
まず
“悪い本社からは、良い工場は生まれない”
として、コストセンターの自覚を持たない本社(≒社内エリート)が如何に無益かつ有害かを繰返し説いています。
いわゆる名門企業には余計に顕著なのでしょうが、どの企業にせよ<改革>を叫ぶ場合には間違いなく「本社=立案(やらせる)側
/現場=実行(やらされる)側」の構図に陥るはずです。まずその構図から徹底して疑う事の重要さを説いているのは、小気味いい
ものです。
<先ず隗より始めよ>はなかなか難しいのですが、それは精神論ではなくキャッシュを生む現実手段だと解せます。
また、読み通すと、個別の事業選別の内容や、その理論化抽象化といった“改革本”にはお決まりの内容が少ないのに気づきます。
例えば
“儲かっているうちに合理化や事業撤退するのはなぜか?”
についても、
「沢山の退職金が払えて、その退職金を元手に次の人生を模索できるだろうから」
という非常に温情的な理由付けがされています。
しかしこれは単なる浪花節の類ではなく、企業の存在意義や仕事観について極めて明快でドライな見方をしているからに他なら
ないと感じます。
「会社は夢や生きがいなんてものは与えられない。それが出来る経営者は教導者かペテン師のどちらかだろう」
とする吉川氏は、徹底した現実主義者なのでしょう。