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墨東綺譚 (角川文庫)
 
 

墨東綺譚 (角川文庫) [文庫]

永井 荷風
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

かすかに残る江戸情緒の中、私娼窟が並ぶ向島・玉の井を訪れた小説家の大江はお雪と出会い、二人は逢瀬を重ねる・・・。美しくもはかない愛のかたち。文字が大きく読みやすい新版。詳しい解説と年譜、注釈、挿絵付き。

内容(「BOOK」データベースより)

にわか雨に傘をひらき、慌てふためく街のさまを見ながら歩きかけると、結いたての潰島田の頭を入れてきた女がいた。わたしとお雪の出会いであった―。私娼窟が並ぶ向島の玉の井を訪れた小説家の大江匡は、かすかに残る江戸情緒を感じながら彼女のもとへ通うようになる。移ろいゆく季節と重苦しい時代の空気の中に描き出される、哀しくも美しい愛のかたち。永井荷風の最高傑作が、文字が読みやすく解説の詳しい新装版で登場。

登録情報

  • 文庫: 188ページ
  • 出版社: 角川グループパブリッシング; 改版 (2009/3/25)
  • ISBN-10: 404102210X
  • ISBN-13: 978-4041022108
  • 発売日: 2009/3/25
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 457,350位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫
 最初は随筆かと思った。丁寧ながらも抑揚のない文体で昭和初期の東京近辺の様子や感慨が書き綴られている。完全な一人称系で進行し、細やかな描写は随筆そのもの。その中で主人公の小説家大江匡のどこか斜に構えたような生き様が生き生きと感じられなかなか面白い。ふとした出会いや女性との関係、現実味あふれる設定と主人公の挙動には著者の文章のうまさに舌を巻かされてしまう。情の通じ合いもほんの微かなものでありながら実に鮮やか。盛り上がりにこそ欠けるが読了後のどこか寂しい印象は気分がいい。後につけられた小さな著者の随筆も消えゆく東京の風景や習慣を惜しむ様子が同感できて非常に良かった。
 星を一つマイナスしたのはいかにも随筆らしく冗長な所があり何を言っているのか分からない部分があったため。東京近郊の地名も頻出するのでそのあたりに疎い自分には少し残念だった。そのあたりを熟知している方ならば、現在の東京と昭和の東京を比べて著者の詠嘆と心境がもっと切に感じられると思う。
 この小説が発表されたときは風俗や習慣のある大きな転換期であり、そういった背景があったからこそ失われゆく風景への愛着を暗に示したこの小説が圧倒的に支持されたのだろう。一種の寂しさを催させる一冊だと感じた。
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余韻 2011/1/11
By cobo
形式:文庫
作家であり、著者永井を思い起こさせる大江(は実は父親の姓、まあ本人と捉えて間違いないのではないでしょうか?)の1人称で語られる余韻の深い、空白を生かした短編小説です。大江が書き出そうとしている小説内小説「失踪」の取材のために、その結末にリアリティを出すためにも、現実の世界を知ることが、その界隈の空気を、人通りを、匂いを作品に滲ませることが重要だと考え、散歩を繰り返すうちに出会った女「お雪」との関係を記した作品です。単純に言ってしまえばそれまでのものなのですが、非常にどの場面、どの記述、描写、心情の吐露している部分にまで、余白を残し、余韻を感じさせるつくりになっていて、受け手の想像や考えをめぐらせる作品です。

その当時の世界を描き出し、その中での窮屈さを感じ取っている大江の、永井の、その認識が面白かったです。非常に繊細かつ粋な物語。

情緒、という言葉を改めて考えさせられました。

しかし、よく考えると、この永井さんも相当に偏屈で、頑固とも言えるとも思いますが。

スタイルある生活、というものに興味のある方にオススメ致します。
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荷風の脚力 2004/2/26
形式:単行本
 本書は玉乃井、現在の東向島周辺の風俗を丹念に記述した作品です。東武線伊勢崎線・東向島から隅田川に沿って浅草まで歩くと、当時の風景が追体験できます。本書を手に隅田川を遊歩してみるととても面白い。かなり疲れますが。

 洋行中(あめりか物語、ふらんす物語)は日本を嫌悪していた著者が、江戸芸術論、つゆのあとさき、おかめ笹、すみだがわ、夢の女、下谷叢話、日和下駄と日本の下町趣味に傾いていくさまを見るのはとても興味深い。「腕くらべ」(岩波書店)は絶版で入手は困難なため、復刊を強く望む、ぜひ読みたい。

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