「あまりにも圧倒的なものを前にすると、語るべき言葉を喪失してしまう」という言葉を実感させてくれる小説。
訳者の上岡氏も、訳者あとがきで「この小説の凄さは到底語りつくせない」
と言ってるほど。下手に言うと、本当に損なわれる気がして、それは凄く残念で
あまりに勿体無いので、自分は多くを語りません。
兎に角、構成、語り、ディテイルの描写、モチーフの使い方が絶妙すぎる。
9.11当日、WTCから脱出したキース(主要キャラ)が、直後にWTC近辺の
駐車場にある看板の前を通り過ぎるんだけど、
その看板に書いてある文字「朝食スペシャル」と「背広3着大バーゲン」)までデリーロは描写してしまうのです。
「リアルに描写するには、細かいディテイルを重ねることだ」と言われているけど、ここまでくると何気ない凄みを感じます。