戦前、大正デモクラシーが定着するか、それとも軍部支配の日本になるかという転換期から、日本の指導者はどうあるべきかなどを学ぼうというのが前著「転落の歴史に何を見るか」(ちくま新書)の狙いだった。日本は結局、大きな世界の中で日本がどう進むべきかを考える「ゼネラリスト」の指導者を養成してこなかったことなどから、この期間は戦争への「転落の歴史」となった。この増補版は、好評だった前著に、原敬論や、座談会を収録した。注目すべきは、著者の前文だ。経済産業省の官僚時代に前著を書いた著者は、その後、埼玉県副知事の後、千葉県から衆議院議員に立候補(自民党)したが、おりからの小沢ブームにぶつかり、民主党の女性候補に惜敗した。その後、雪辱を期した3年半近くは、定職もなく、次は勝てるという希望もなく著者自身が「転落」するやもしれ苦しい3年半だったという。その後、民主党が政権をとった前総選挙で、自民党から比例代表で復活当選した著者の、今後の政治家としての行動に期待したい。その意味で、震災後のリーダー像を考える上でも、好著といえる。