文献だけではなく、絵巻や肖像画,地図等の絵画も重要な史料として過去の歴史を探ってみようと主張する本。
とても興味深い試みだと思うのだが、いまひとつ物足りない。
いくつかの絵画史料を例に、絵画を読み取る方法が語られるのだが、つっこんだ議論を省略して、いきなり結論が出されてしまう箇所が何箇所かある。初心者向けということで、記述を簡略化したのだと思うのだが、こういうものは、具体的な細部にこそ面白さがあるのではないだろうか。
方法論に関しても、「他の史料や、他分野のさまざまな研究成果を参照する」とか「その絵がどのような目的で描かれたかを意識して読み解く」という程度では、あまり面白みが感じられなかった。
源頼朝の肖像と伝えられてきた絵が、実は別人だったという説を論証するくだりは説得力があって面白かったのだが。