文庫化にあたっては大幅に加筆されただけあって、読み応えがあります。
そもそも『落日』という言葉の意味は「沈もうとしている太陽」のことですが、この宇宙船を宇宙(そら)に上げちゃいけなかったのですね。事故の確率について、10万分の1というのは「300年間毎日シャトルを飛ばして1回事故を起こすということ」に相当するそうですが、実際には30年間に2回も大事故が起きました。シャトルが打ち上げられなければ、14名もの命は失われることはなかったのです。これは無駄な公共事業としての原発と一緒。教訓、10万分の1と言われたら疑ってみよう!
つねづね、今から40年近くも前にアポロ11号が遥か38万キロの月にまで到達しているのに、いまだに高度500kmあたりで人類がとどまっているのか不思議に思っていました。米ソの軍拡、宇宙開発競争が終わっちゃったから仕方ないのか、ぐらいしか考えていなかったのですけれど。本書にあたって、目から鱗。翼から断熱材。
あー、あのスカート付き。4本足のソユーズの方が“結果的に”正しい解答だったわけですね。そうかそうか。知らなかった。この本が素晴らしいのは単に失敗、過去の愚行を糾弾するだけでなく、その反省も含めて今から何をどうするべきかを論じているところです。でも松浦さんは、基本「ロケット野郎」なので(笑)ロケットに対する愛着が強すぎますな。(解説書いているホリエモンも同様ですけど)
「(宇宙エレベーターが完成したら)軌道上への輸送コストは、おそらくH-IIAの百分の1以下、あるいはもっと安くなる。それこそ人類の宇宙進出は一気に進むだろう。」(P280から)そそ。これですよ、これ。(お約束お約束)
一つだけ「翼」について擁護しておくと。ロケットとミサイル、似てるじゃないですか。というか基本が一緒だから。翼がついていると「平和利用」って感じは確かに出るんですよね。(みんなそれにも騙された)
日本のジャーナリストが自分で調べて、これだけのことが分かっているのに──「偉い人には、それが分からんのですよ」、分かれっちゅーの。無理な注文かなあ。「認めたくないものだな。NASA自身の、古さゆえの過ちというものを」ダダダン!