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幼年時代の山手線と渋谷の記録(第1章 山手線―昭和八年)に始まり、著者が時刻表にはまっていった切欠、戦前の優等列車への作者の羨望(第2章 特急「燕」「富士」「櫻」)、開通間もない丹那トンネルや清水トンネルへの旅行記や戦前の黄金時代の鉄道・旅行の様子が描かれた後、旅行が抑制され、そして次第に禁止されていった戦時中の緊張した旅行(第9章、第一種急行1列車博多行―昭和十九年 等)、終戦日の鉄道と著者の記憶(第13章 米坂線109列車―昭和二十年)、そして終戦後の混乱した時代の鉄道旅行などが描かれる。
自分は買ってからもう何十回と読み返しているが、それでも読み返したくなる神秘的な何かがこの本にはこめられているように感じた。
特に第13章の終戦時の記録、そして増補版に付けられた敗戦後の鉄道についての概要的記述は感動的である。鉄道は歴史の転換点のときも、敗戦後の混乱の中でも動いていた―日本の鉄道員の偉大さ、鉄道というシステムの凄さと素晴らしさがしみじみと感じられた。敗戦直後の日本国民に生きる希望を与えた物の中に「鉄道」は間違いなく入るだろう、と確信させられたのである。
この作品は「時刻表2万キロ」に匹敵、いやそれ以上かもしれない著者の名作である。ぜひ一度読まれる事をお勧めする。
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