ビートルズ後期である1968年に発表された、唯一、全メンバーの承認つきの伝記です。
したがってグループ後期の緊張状態、解散までの経緯、各メンバーのソロ活動、ジョンの死などなど21世紀の我々が知る数々の事件はもちろん含まれず、オノ・ヨーコの件もまだ出てきてません。(1985年版、2009年版に補記されてはいますが)メンバーはじめ家族、関係者のほとんどが在命中であり、「検閲」つきとあっては、物足りないことこの上なし。2000年代に入ってから発表された種々のビートルズ伝記物の「後日談」や「暴露」の強いインパクトの影になってしまい、やや時代遅れの感があります。第一級の原典だというのに本書のレビューがこれまで書かれていないのも、そのせいなのでしょうか?
4人の生い立ち、前身バンド時代、ビートルマニア現象、音楽性などが、本作では深い分析というより客観的な記録として淡々とおさえられていました。筆者が密着取材した67〜68年頃のビートルズの生活の様子もシンプルに散文的に描かれ、面白い。またインタビューによる各メンバーの回想や告白も、当時の彼らの生の声を再びここで知ることができて良いでしょう。
活字も大きく読みやすく60才以降の世代には目に優しいと思います。
ビートルズ伝記ものをまだ読んだことがないという人がいたら、最初に手に取るには教科書的で良い本かもしれません。ビートルズ活動時代、現在進行形の空気を今ふたたび味わいたいという方にも…
まったく蛇足ですがビートルズ関連本につきものの「金」の話。本書の作者も「金」に価値を置いた記述が実に多く、これは残念です。