表紙はエロチックで、タイトルは謎めいていて、つい手にとって見たくなる本書。
本書を手に取ると、あまりの分厚さとカラーページのセンスにわくわくさせられる。
もはやこれは手軽く買える「本」ではなく、「ゲーム」を買うときに近い感覚だ。
カラーページや冒頭の用語説明は、ゲームの説明書を読んでいる気分になる。
内容もどちらかといえばやはり「小説」よりも「ゲーム」に近いだろう。
というのは、小説は何かしらの「事件(イベント)」を中心に描くものであり、ゲームはシナリオこそ「事件(イベント)」を描くが、基本的にはキャラクターによる戦闘などの「日常的なシーン」を描くものであるからだ。
そんなわけで、本作は序盤どころか終盤まで、「こういうキャラクター」が「こういう世界」で「こんなこと」をしながら暮らしている、というシーンがひたすら繰り広げられる。
事件と主人公一行が深く関わり、物語が大きく動き出すのは下巻からだ。
この物語は「王道」だ。
巨大な世界観と膨大な造語により、無駄骨は多く感じるかもしれないが、斜に構えたところや捻くれたところ、意表を突く斬新なところはほとんどない。
例を挙げれば、主人公がクールでもニヒルでも嘘吐きでもないのだ。
単なる馬鹿である。
だからこれは、素直で真っ直ぐな、お約束が混じった物語だ。
本作の魅力は、そのスタンダードな王道が、すばらしいエンターテイメントをしていることに尽きる。
友情があり、恋愛があり、ほのかなエロイズムがあり、笑いがあり、仲間がいて、先生がいて、学園があり、街があり、異世界であり、国があり、王がいて、機械と魔法が入り混じる。
だが、そこにはもちろん、政治がある。卑怯な戦略がある。意地汚い思惑もある。
青春まっしぐらなボーイミーツガールで終わらない。
絶世の美女はもちろん、渋くて強いおっさん。強い少女。か弱い少女。強い少年。へたれな少年。
巨大ロボットがいて、巫女がいて、アンドロイドがいて、魔術師がいて、半竜がいて、騎士も侍もいて、剣と銃が交錯し、拳と機械の兵器が激突する。
王道の少年漫画的要素を詰め込めるだけ詰め込んだ、豪華な小説。
以上が、境界線上のホライゾン。
世界の創始と終末をご覧あれ。