実物入試問題を使用せずに、テーマに沿った典型題を用いて
解法のキーとなる考え方を提示、網羅。
塩水問題に天秤図、出会い旅人問題にダイアグラム・・・・
なるほどこれなら多くの塾で毎夜繰り広げられている板書集と
いってよいだろう。
では一体、本書を使って有益なのは誰なんだろう?
塾通いをしているが塾の算数が今ひとつ飲み込めていないのでその
補完を、と言う向きには塾以上に本書の内容は理解できない筈。一方
塾の宿題をある程度こなせている子供さんなら既習問題として見向きも
されないに違いない。
器用貧乏という言葉がある。この手の本はまさにその見本である。なにしろ
別解がほとんど提示されていないので、アプローチの入り口が本書と異なる受験生
には適切なガイドが施せない。例えば例題96。旗集めの問題は和差算で考える
と最もスッキリすると思われるが、実際塾生にやらせてみると、頭のなかで旗集め
パターンをシュミレーションして暗算で正解を出す子がちらほら出てくる。しかも
紙に書き出すことなく、驚くべき速さで。
彼らに言わせると、いろいろな小道具はかえって煩わしいという。発想の基本は
指を折って数えることなんだそうだ。テクニックを覚えることのほうが遠回りだと
口をそろえて言うのだ。
なんのことはない、算数で点を稼ぐ連中というのは元来塾で習うようなことは必要
ないのだと思われる。
受験生を持つ親から見て、おっ、これを使えば即効性ありそう、と見える本書及び
類書は、意外にも教師側のひとりよがりの面が大きいことを承知せねばならない。