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長い歴史の中で「道を開く」という事はどう言う事なのか。その道が必ず海に通じていたという事はどう言う事なのか。「道も一つの遺跡である」街道などの当時のクニが作った道だけでなく、民衆が作ってきた道をどう見るかという視点をくれたことが今回の収穫であった。
宮本民俗学は柳田民俗学とは違い、綿密な民俗調査のあとがはっきりしていたり、歴史文書資料の活用など、学術性が高いところに特徴がある。しかもその眼差しは常に民衆の立場に立ち温かい。それは彼自身が若い頃からずっと自分の足で日本中をくまなく歩いてきた成果なのだろうと思う。
ただ、史学界ではほぼ否定されている江上波夫氏の騎馬民族学説に依拠するなど、専門の歴史学者ではない私から見ても学問的に誤っていると断定できる部分が、本書に散見される(初出が2、30年前であることを考えると仕方ないのかもしれないが)。しかし、著者のやさしい語り口調と博識には、それを補って余りある魅力がある(村の古老の昔話のようだ)。読み物としてかな!りお勧め。
日本列島というカプセルの中に、異なる系譜をひく人々が数次にわたって流れ込み、様々な文化をもたらし、日本の風土に適応していくための工夫・改善を繰り返す中で、日本の社会が形作られていく様が、いくつかの事例をもとに素描されます。環境の違いから来る地域性が産業の発達を促す一方、その交流によって、ネットワークが形成され、国としてのまとまり・民族としての一体感が形作られ、強化されていく。長い年月に繰り返されるこうした生活における適応が、私たちのデザインや色における美意識の基底をなしていることも知れます。トヨタに代表されるカイゼンも、ごく自然に我々日本人のDNAとして理解されます。推論であって、荒い内容ですが、色々考えさせられます。ちょっと日々の生活を離れ、歴史的文脈の中から、自分の血肉を形作る日本人の民族性に思いを馳せるのも良いものです。
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