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場所の現象学―没場所性を越えて (ちくま学芸文庫)
 
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場所の現象学―没場所性を越えて (ちくま学芸文庫) [文庫]

エドワード レルフ , Edward Relph , 高野 岳彦 , 石山 美也子 , 阿部 隆
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,260 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人間が生きるということは、身の回りの空間や環境に自分なりの様々な意味を与えることと同値である。自らの直接経験による意味づけによって分節した空間が、すなわち「場所」である。場所は、大量生産と商業主義が深化した現代においては、多様だったはずの意味や環境適合性を欠落させ、お仕着せのものとなり、「偽物の場所」のはびこる「没場所性」に支配される。本書は、ディズニー化、博物館化、未来化などの現代の没場所性の特徴を暴き出し、キルケゴールやカミュやリフトンらの文学や哲学の成果も動員しつつ、場所に対する人間の姿勢と経験のあり方を問う、現象学的地理学の果敢な挑戦である。

内容(「MARC」データベースより)

著者はトロント大学の地理学者、現象学的地理学の第一人者である。この本は、景観や場所に対する人間の姿勢と経験のあり方を探ることを第一のテーマにして、場所のアイデンティティを論じ、場所のセンスと場所づくりの諸相を述べる。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 341ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1999/03)
  • ISBN-10: 4480084797
  • ISBN-13: 978-4480084798
  • 発売日: 1999/03
  • 商品パッケージの寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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16 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 良くも悪くも「古典」 2009/2/22
By toroia
形式:文庫
地理学の分野以外では、レルフといえば1977年の本書、そして「没場所性」しか取り上げられないのが常だ。そして大抵次のようなタイトルの下に紹介されている――没場所性の克服、没場所性に抗して、場所の復権、云々。
そりゃぁある視点から見ればレルフのいう没場所性というのは確実に世界を覆い尽くしていくように見えたのだろう。たとえば「マクドナルド化」や「グローバリゼーション」といった言葉も同じような視点から世界を見据えている。
しかし没場所性と場所性、という単純な両極設定はすでにレルフ自身によって自己批判されていることでもある。彼(現在はTed Relph名義が多い)いわく、ベトナム戦争終結前後に書かれていた本書には、モダニズムと伝統という、今から見ればどうしようもなく単純な二分法が背後に隠されていた。現代は、少なくとも認識論的にはポストモダン、後期近代などさまざまな「モダン以降」が氾濫する時代であり、そのような時代に没場所性という、場所への感覚にこだわりすぎた概念を使うのは慎重にならねばならない、と言う。特に没場所性と誤解されがちな近代におけるモノや人の流動性の激しさが場所の感覚を損ねることはありえない、とまでレルフは言っている。
これはミクロなレベルから人々の実践や感覚を研究してきた文化人類学のほうからも提出されてきていた異論だった。

とはいえ、今となってはあまりにお気楽な近代批判・克服の道具と成り果てている「没場所性」や本書ではあるものの、レルフ自身が指摘しているように、たとえば本書で見落とされていた政治的側面、あるいはアイデンティティや場所の所有と密接に結びつく権力や排除的暴力、などといった観点から没場所性を新たな概念として構築していくこともまた、不可能ではない。
イーフー・トゥアンとともに70年代を風靡した現象学的場所論は、80年代後半以降、後期近代という自覚とともにルフェーヴル、ハーヴェイやソジャなどのマルクス主義的空間論によって押され気味の感はある(日本ではちゃんとした場所系現象学の本や翻訳が少ない。ようやく最近『場所の運命』が出た程度)。とはいえ、上記のように、批判的に、または生産的に読むことが今でもできる、そういう意味で『場所の現象学』はれっきとした「古典」であろう。
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形式:文庫
科学的地理学への反省から、直接的に経験され、生きられる空間として「場所」を捉えなおそうという現象学的地理学の「古典」である。

目次は以下の通り;

第1章 場所および地理学の現象学的基礎
第2章 空間と場所
第3章 場所の本質
第4章 場所のアイデンティティ
第5章 場所のセンスと本物の場所づくり
第6章 没場所性
第7章 現代の景観経験
第8章 場所のゆくえ

第1章では、「地理学」そして「場所」についての、様々な異なった論者の定義が概観される。場所および地理学の現象学的基礎として「地理的知識の基礎は私たちが自ら生活している世界についての直接経験と意識のうちに存在する」というテーゼが提示される。

第2章では、実用的空間・原初的空間、知覚空間、実存空間、聖なる空間、地理的空間、建築的・計画的空間、認識的空間、抽象的空間という、非常に多様な「空間」についての分類が論じられる。これらの多様な空間形態は、空間の多様で幅広い意味を表すものである。それぞれの空間は一つ以上の空間と重複混交し、極めて多層的な空間形態を示す。

続く第3章では、場所と位置、場所と時間、共同体の場所、公共の場所、個人的な場所、根付くことの重要性が示される。「根付くこと」とは人間と世界との関係の基礎であり、個人及び社会の一員としてのアイデンティティの基礎としての場所である「住まい」は、他とは代え難い意義の中心を構成する。興味深い点としては、同時に場所の重荷としての「ノスタルジー」である。17世紀の発見当時は「死に至る病」とされ、一つの場所に縛り付けられることの悲惨さの証左として示されている。

第4章では、場所のアイデンティティが論じられる。場所のアイデンティティとはその場所における物質的要素、人間活動と意味の三位一体の構造を持つ。つまりその場所における自然・都市景観、社会的行為や共通の歴史が相互関係的に紡ぎ出すところの「意味」である。このような場所の固有性は「場所の精神」、「場所のセンス」、または「土地の気風(ゲニウス・ロキ)」という概念と不可分でもある。またこの主観的側面における「外側性」・「内側性」というタームも重要である。

第5章以降は現代社会における「場所」をめぐる「本物性」、「偽物性」や様々な「没場所性」が論じられる。「画一性」、「キッチュ」、「テクニーク」、そして場所の「博物館化」、「ディズニー化」、「未来化」、「サブトピア化」などの傾向・現象が、大衆文化、マスコミュニケーション、中央権力、経済システム、多国籍企業への厳しい批判とともに開示される。

総じて世界的規模で進行していると認識された「没場所化」への危機感が滲み出た内容となっている。他の評者が既に指摘している通り、場所についての「本物性」「偽物性」という二元的対立構図から端的に表されている通り、「大衆性」への一面的非難、「土着性」へのロマン主義的礼賛(これが故の本著における「土着」の哲学者ハイデッガーの言説の決定的位置である)の安直さは批判されて然るべきものである(とはいってもロマンテックで復古主義的空間の企ては「博物館化」という一手で痛烈に批判されている)。

評者の感想としては、「場所」が生活空間として、直接経験の源として生きられる「場所」であるかぎり、人は愛着を持ち、アイデンティティを感じることが出来るのではないだろうか。「キッチュ(俗悪)」であるがゆえに愛するということも全く否定することは出来ない。つまり「偽物」をも「代え難いもの」ものとして愛してしまうという、至って「人間的」な営為のほうが実は本質的な問題を成してはいないだろうか。

しかし「官僚的公共空間」=「国民国家的空間」のもたらす「没場所性」という観点は今でも有効である。これにより、国家の名の下に収奪される個人的・共同体的空間の危機を有効的に暴き出し、その本質的「不条理性」を白日の下に晒すこととなるだろう。さらには某所で今でも行われ続けている国家の大義名分により独占される死者への意味付与権も挙げられる。これは「集合的記憶」の分野とも関連する主題であるが、死者の追悼という決定的に「個人的」かつ「聖なる空間」に対する権威的・暴力的な「没場所化」に他ならないだろう(むしろこれも「没場所的ゆえの快楽」という観点から考察さるべきか???)。

しかし、本著は理論的かつ具体的記述・分析のバランスが取れており、また論理も豊富な引用からなる理路整然としたものとなっており、この示唆するところは極めて多い。言葉現在でも尚注目を集める「場所」という主題を考察するにあたって、欠かせない重要な「古典」であることは間違いない。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 本編もさることながら・・・ 2013/4/13
形式:文庫
 本編に関してはかなり、詳しくみなさん書かれているので。

 個人的には本編も素晴らしいと思うのですが、最後の「訳者あとがき」も注目すべき点です。
 訳者あとがきには非常に分かりやすく、これまでの地理学が歩んで来た道のりが書き示されています。
 地理学に社会学のシカゴ学派的な流れが入って来る過程なども分かりやすいです。

 本書を読む時には先に「訳者あとがき」から読むのも手だと思います。
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