最初にグーグル本社の現地取材、最後に日本のメディア事情が取って付けたようにあるが、全体的としては収入の大半を占めていた広告が取れなくなった米メディアの次なる収益モデルへの模索を書いている。
金平が担当している章では「課金すべきかしないべきか」「課金がなければ報道は崩壊するのではないか」「採算が取れないなら、非営利でやるか政府が支援すべきか」などの論点について、既存メディア側とネット側双方の意見を掘り下げている。既存メディアの危機感に対し、ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」のアリアナ・ハフィントンは「課金の有無は提供側が決めるのではなく、利用者が決めるべきこと」と返す。独自取材も交え、ハフィントンの主張や「メディアは救うな、報道を救え」という考え方に理解を示しつつも、「ネットと関係なく、収益重視になってから報道が劣化し、新聞社も衰退した」「取材には金がかかる。対価なしに優れた報道を行うのは難しい」という識者の意見を紹介している。金平としては後者の方を重視しているのかなという印象。第6章では日本の紋切り型ワイドショー的報道への批判しているが、従来からのメディア論を最新のニュースを加えてアップデートしているだけで新味はない。河内担当の章はグーグル取材のほかは、これまで河内の著作で示した日本の新聞社の未来展望を最新の出来事を加えてまとめているのみで、業界人以外にはさほど面白みがあるとは思わない。
余談だが、TBSの報道についてかなり信頼感を落としていたので、TBSニュースの最後の良心とも言える著者・金平といえど手に取りたくはない感はあったが、読んでみるとオーソドックスな取材・執筆がなされていて安心した。NEWS23を看板番組に押し上げ、ボーン・上田賞を取り…とこれだけ仕事ができてTBSもまともな会社なら、局付執行役員なんて体の良い窓際に置かないんだろうが。