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中学校か高校の歴史で、「商売」という言葉は、「商」の人(族)が流通や交易に携わっていたことから生まれた言葉だ、ということを習った記憶はないだろうか。しかし、ではその「商」の人たちがどのような商売形態をしていたのか、その具体的な内容は記憶に残っていない。
この小説は、殷よりはるか以前の神話的な時代に、その商の民族がどのように商売というものを確立したかを描く部分が圧巻である。商の民は他の中華諸国と異なり豊かな土地がなく作物を得ることができなかった。その代わりに塩を手に入れることができたので、その豊富な塩を利用して最初は物々交換!!からはじめた。やがて時間をかけてその塩を貨幣の地位に引き上げ、中華諸国の経済を支配するようになる。このあたりのことを尭帝の人柄と治世を描きながら大きな空想力を働かせている。
商売とかビジネスがどのように始まったのかという人間の歴史における根源的な疑問のひとつでありながら、しかし実証的に証明することはなかなか困難なテーマを中村氏独自の文体と小説という仮想空間でシミュレートした作品として受け取った。だからこの本は中国の古代小説ファンがよむべき本であると同時に、経済小説ファンが読んでも楽しめるのではないかと思う。さらに、商族が塩を貨幣化して中国の経済を支配してゆくさまは、場所を現在の地球規模に置き換えればグローバリゼーションの中で暗躍する多国籍企業や金融マフ!£アのパロディとしても読める。だから経済グローバリゼーションを問題にしているNGO関係者にもお勧めの内容だ。
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