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19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
魔神の霊言である。,
By
レビュー対象商品: 堕落論 (角川文庫) (文庫)
安吾はきっと筆の運びが非常に早いひとであったろうと思う。流麗で、イタコの口寄せを読んでいるようなのだ。著者の息遣いさえ感じられ、そのリズムにまずに酔わされてしまう。おそらく彼が言語化しようとしていた思想は、個人の意思や感情を超えたところにある、歴史の意志、人類的な思考みたいなものだったろう。彼はそれを実体ある魔神のように感じ、霊媒のようにおのれを介して語らせていたのだ。これが彼の本当の書斎である。 この型の作家は、短編では美しいものを書くが、長編だと未完であったり、随筆だとひとを引きつけるが、何を言いたいのかよくわからないものを書いたりする。 安吾の随筆は、面白いのだけれど中身はあまり無いと思う。安吾的な気分にさせてくれるだけなのだ。だから人格形成が未熟な高校生などには読ませるべきではない。悟ったようなことを言い出すチビ安吾ができあがるだけだからだ。
22 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
無題,
By カスタマー
レビュー対象商品: 堕落論 (角川ミニ文庫) (文庫)
不良少年太宰に対して極道坂口安吾と言ったらよいのだろうか。太宰にはまだかわいげがあるけど安吾にはかわいげよりも凄みのようなものがある。同じ中毒になるにしても太宰はやっぱり少しチャーミングだけど安吾は普通に怖い。教祖・小林秀雄が最も戸惑った相手も安吾であったのではなかろうか。そんな安吾が日本文化や青春、デカダン文学、恋愛、欲望について述べた珠玉のエッセイ集。どれもこれも最高に面白いので是非読んでみて欲しい。なかでも「堕落論」「続堕落論」はかなり痛快。ちなみに「不良少年とキリスト」の不良少年とは太宰のことであり、「教祖の文学」の教祖は小林秀雄のことを指している。
51 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
きわめて健全な思想,
By utudanuki (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 堕落論 (新潮文庫) (文庫)
坂口安吾はよく太宰治と一緒にされ「無頼派」などと呼ばれている。しかし、太宰の堕落と安吾の堕落はベクトルが全然別の方を向いている。ひとことでいえば太宰は死を、安吾は生を指向している。「生きろ」。 これが安吾のメッセージである。大義のために美しく死ぬのではなく、たとえ堕落しても、醜くとも生きることを安吾は主張する。これはまさしく戦後日本の原点にある健全な生の思想である。終戦直後、多くの日本人が同じことを考えたのではないだろうか。私はここに焼け跡の上にある青空を見るのである。
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