大学生の時に「堕落論」を読みましたが、あの頃は「堕落せよ」という
フレーズだけがただただ印象的で、その後12年、坂口安吾って
「人間ダラダラ生きましょう」と言ってる人だ、だらしない人だと
思っていました。
が、こうやって改めて読んでみると(マンガだけど)、坂口安吾は
けしてだらしない人ではないということが分かります。戦前・戦中を
通して、人間はどう生きるべきかを考え続けた人なのですね、きっと。
白痴で描かれる人間のリアルさもおもしろいです。
相当に人間を見ている人なのでしょう。
12年前に私が坂口安吾に理解できず、共感もできず、深入りも
しなかったのは、彼の書く文章がかなり主観的・観念的・抽象的
だったからだと思うのです。1946年に発表された原作に対して
時代背景も分からなかったし。けれどもこのマンガでは、
坂口安吾の言いたいことが戦争を全然知らない私たちにも
具体的にイメージできるものになっています。
彼は、政治的な体制がどうであれ、自分の好きなこと、自分の
欲しいことを明確にして生きていくことの大切さを説いている
ように思いました。その反面で欲するままに生きることの害悪
も警告しているようです。
だったら、どう生きたらいいのだろう、と思いますが、それが
たぶん人間の核であり、本質かなと思います。
もう一回原作を読んでみたら、本質にたどり着けるかもしれません。