書題通りの内容を,糊と鋏をうまく使って,つまり,あちこちから材料をかき集めて,まとめてある。だから,格好の入門書と勘違いしてしまう人もいるかもしれない。しかし,読み始めてみるとすぐに気付くだろうが,この著者は概念操作がまったくできていない。ある概念と別の概念の関係を秩序立てて位置づけるということだ。これは,入門書とはいえ,一応社会科学系の専門書としては,致命的なことではないだろうか。その一つの傍証となると思われるのが,( )の頻用である。たとえば冒頭第1章第3節の見出しに,「商業(学)と流通(論)」とあるが,これでは事象としての商業や流通なのか,学問としてのそれなのか,わからない。おそらく著者にも分かっていないのではないか。もう一つの見過ごすことのできない欠陥としては,文章のひどさがある。初歩的なテニヲハのまちがい,主語と述語が対応していないセンテンスがごろごろしている。この著者の受講学生以外には,無用のシロモノであると,確信をもって言える。