本書は,そのホテル経営学の総合的な教科書。著者らは,第二次世界大戦直後の立教大学にて,観光学部の前身であるホテル講座の立ち上げに学生として携わった面々。そして本書は,著者の一人,鈴木博氏が1964年に発行した同内容の教科書,「近代ホテル経営論」の改訂版に当たる。内容は,国内,海外のホテルの歴史から始まり,現在のホテル業の現状,ホテルの組織,経営指標,計数管理,マネジメント,マーケティングまでを幅広く網羅しており,正に教科書として万全の体裁をもつ。
ただし,いかんせん64年発行の教科書が元となっているため,内容と時代とのミスマッチが多々見られるのが難点だ。頻繁に例として挙げられるホテルが,63年開業の東京ヒルトンホテル(現キャピトル東急ホテル)であったり,紹介されるホテルのコンピュータ・システムが,ROMカードリッジでプログラムが供給されるホスト・コンピュータで構成されていたりと,ミスマッチ例はあまりに多い。また本書は,組織図や帳票類など,豊富な図表が特徴であるのだが,その図表も英語で書かれたものの直訳が多く,日本のホテル経営学の水準が,未だ米国からの輸入でしかないのかと不安にさせられる。
ホテル産業の歴史を学ぶための一冊として,割り切った読み方が必要だろう。
(ブックレビュー社)
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