イギリスの使用人たちの階級(とあえて言う)である執事・ハウスキーパー・料理人・メイド・従僕と下男・乳母、
にそれぞれ一章ずつ割り当てて、文学作品・映画・他現象などへの反映参照から
一体彼らがどのようなイメージを持たれているかを探っていくというのが
この本の趣旨だと著者は最初に言っている。
だが、他の本でナニーを描くのに一冊使っている著者である、これらに一章ずつで足るはずが無い。
まずこの時点でページが足らないと予想できた。
ページが足らないということは、何かを削らなければならないということである。
今回は階級制度に対する叙述も割りに少なく(思え)、いろいろな引用も盛り込みすぎではというほど多く、
その点は興味深く読めたのだが、私的には著者の言葉が足らないと思う。
文学作品・映画・他現象などへの反映参照、これらを紹介したところでページ切れになって、
著者の言いたいことまで回らなかったのではないかと思う。
読み終えた感想ではちょっとごちゃごちゃしていたな、と感じた。
メイドと執事の裏表というタイトルがついているが、著者が表はこう、裏はこう、と明らかにした本ではない。
さまざまな引用参照から当時の彼らはこんな感じだったと紹介している本と言ったほうがいいかもしれない。
執事は酒類を取り扱い、酒好きじゃないとやってられなかった、的な薀蓄もたくさん載ってます。
個人的には、階級制度と結びつけての堀り下げを期待していたのだけれども、
テーマが多過ぎて、掘り下げまではやっぱり一項目1冊いるのではないかしらと思ったのが感想でした。
と、愚痴になってしまいそうなので。
著者は、イメージにおける執事やメイドがノスタルジー(や現実逃避)と言っていますが、私もそう思います。
現実には階級制度無しでは語ることや存在することができないと思われる執事やメイドが
作品などでステレオタイプとして扱われる。優秀寡黙な執事、主人と恋に落ちるメイド、それらが人々に好まれる。
その辺から興味を持った人も多いのではないでしょうか。
でも、この本には、ノスタルジーはあまりありません。著者は淡々と引用を含めながら書いています。
そこにあるのは、イメージの元になった当時の人間達ではないでしょうか。
最後に。あとがきでDownton Abbeyにふれてくれたのが嬉しかった。
ごっちゃになりそうな使用人たちの階級を頭の中で整理するのに役立ったのが
Downton Abbeyでした。おすすめのドラマです。
とにかくページが足りないのが残念。もう一冊出たら必ず読みます。