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執事とメイドの裏表 ─ イギリス文化における使用人のイメージ
 
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執事とメイドの裏表 ─ イギリス文化における使用人のイメージ [単行本]

新井 潤美
5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

日本人の想像する執事はイギリスとどう違う? 文学や映画でおなじみ、イギリスの執事やメイドなどの使用人。これらの職種に対する社会的イメージと実情を、19世紀~現代を中心に、文学や諷刺、各種記録から考察する。

内容(「BOOK」データベースより)

執事は二つの顔を持っている?メイドは玉の輿に乗れるのか?英国社会は歴史的に、使用人にどのようなイメージを持ってきたか、そしてその実像は?日本やアメリカで流布しているイメージとのギャップから英国文化を考える。

登録情報

  • 単行本: 250ページ
  • 出版社: 白水社 (2011/11/22)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4560081794
  • ISBN-13: 978-4560081792
  • 発売日: 2011/11/22
  • 商品の寸法: 19 x 12.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By miko
イギリスの使用人たちの階級(とあえて言う)である執事・ハウスキーパー・料理人・メイド・従僕と下男・乳母、
にそれぞれ一章ずつ割り当てて、文学作品・映画・他現象などへの反映参照から
一体彼らがどのようなイメージを持たれているかを探っていくというのが
この本の趣旨だと著者は最初に言っている。

だが、他の本でナニーを描くのに一冊使っている著者である、これらに一章ずつで足るはずが無い。
まずこの時点でページが足らないと予想できた。
ページが足らないということは、何かを削らなければならないということである。
今回は階級制度に対する叙述も割りに少なく(思え)、いろいろな引用も盛り込みすぎではというほど多く、
その点は興味深く読めたのだが、私的には著者の言葉が足らないと思う。
文学作品・映画・他現象などへの反映参照、これらを紹介したところでページ切れになって、
著者の言いたいことまで回らなかったのではないかと思う。
読み終えた感想ではちょっとごちゃごちゃしていたな、と感じた。
メイドと執事の裏表というタイトルがついているが、著者が表はこう、裏はこう、と明らかにした本ではない。
さまざまな引用参照から当時の彼らはこんな感じだったと紹介している本と言ったほうがいいかもしれない。
執事は酒類を取り扱い、酒好きじゃないとやってられなかった、的な薀蓄もたくさん載ってます。
個人的には、階級制度と結びつけての堀り下げを期待していたのだけれども、
テーマが多過ぎて、掘り下げまではやっぱり一項目1冊いるのではないかしらと思ったのが感想でした。

と、愚痴になってしまいそうなので。
著者は、イメージにおける執事やメイドがノスタルジー(や現実逃避)と言っていますが、私もそう思います。
現実には階級制度無しでは語ることや存在することができないと思われる執事やメイドが
作品などでステレオタイプとして扱われる。優秀寡黙な執事、主人と恋に落ちるメイド、それらが人々に好まれる。
その辺から興味を持った人も多いのではないでしょうか。
でも、この本には、ノスタルジーはあまりありません。著者は淡々と引用を含めながら書いています。
そこにあるのは、イメージの元になった当時の人間達ではないでしょうか。

最後に。あとがきでDownton Abbeyにふれてくれたのが嬉しかった。
ごっちゃになりそうな使用人たちの階級を頭の中で整理するのに役立ったのが
Downton Abbeyでした。おすすめのドラマです。
とにかくページが足りないのが残念。もう一冊出たら必ず読みます。
このレビューは参考になりましたか?
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
まず本書は、あくまで文学研究者による英国使用人論であり、通常こういったテーマに期待されがちな社会史や歴史学的な記述は大変薄いことを理解されたい。

本書は、オースティンやウッドハウスといった著名な英国作家による作品中において、使用人がどのように描かれてきたのかを整理したものである。したがって、副題は「イギリス文学における使用人のイメージ」と捉えたほうが、内容に照らして言えば妥当であろう。

しかしながら、こうした手法では文学・小説論としても、社会史の記述としても、ともに試み半ばといった印象をぬぐいきれない。例えば日本における「非正規雇用者」の実態を議論するのに、テレビドラマや小説を題材として議論を進めているような、肩透かしの印象を受ける。
端的に言えば、著者がとってきやすかった材料から、即席で売れそうな小話をしているようなものであり、労作とはいえないだろう。

近代イギリスにおける労働者の社会史といえば、歴史学的にはかなりの厚みがある研究分野であり、例えば近年ではE.P.トムスンの『イングランド労働者階級の形成』といった名著もあるが、こうした社会史や歴史研究にみられるような、当時の公文書や統計、実際の使用人が書いた日記や手紙などの史料の参照は、ごく少量が用いられているのみであり、また著者も歴史、社会史研究を意図したものではないと思われるため、もちろん十分ではない。
また、議論の前提となる分析視角も、単に使用人のイメージを対象とするといったものであるため曖昧に映ってしまう。おそらくこうしたテーマには論点として不可欠であろう英国の階層・階級論や、あるいは都市化の論点も、ほとんど省みられていない。

したがって、冒頭でも述べたように、本書はあくまで英国文学において、使用人がどのように描かれてきたのかといったテーマに関心がある読者には一定の面白みがあるのかと思われるが、包括的な職業論の社会史を期待される読者にはお薦めできない。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
古き良き時代 2012/5/13
あなたが金持ちでバリバリ働いてるとして。
広い屋敷を掃除する掃除婦はいる。庭師はいる。仕事をかたす秘書がいる。若い衆に仕事覚えさすのに付き人がいる。
自分で運転する時間を仕事に当てたいから運転手はいる。
これはかつては馬車の御者であり、馬丁だった。いくら金があっても外食ばかりじゃ侘びしいから料理人がいる。子供の教育に家庭教師もいる。
執事はいらない。
執事=バトラーとはまず酒の管理者であり、上流階級の社交のためだった。
世界一有名な執事、ウッドハウスのジーヴスは実はバトラーではなく、従僕である。
独身者で家を管理してない男に執事もくそもないのだ。
ジーヴスの役目は主人の服装に文句つけることだが、元々社交界の決められたコードの服装を維持するために、執事も従僕もいるのであり、
好きな服を着たいならそんなもの雇わなければいいのだ。
酒と社交と見栄え。夫婦で交際する西洋社会では、女だけで接待、殊に酒を給仕させて脂下がるわけにはいかなかった。
日本ならば女主人や女将がやる方が喜ばれる男性だけの宴会がメインだが、
女性客をエレガントにエスコートできる。そういうものとして男性使用人の存在が不可欠だったのだ。
今や階級社会と社交界のなくなった世界では前述の使用人たちはいても、執事はいない。
執事を置いたのは階級社会と資本主義が入り混じった社交の中で互いに相手を値踏みし利用しあう。
投資するだけの見返りがあった時代だ。
貴族は貴族で金持ちは金持ちで互いに利用しあった時代。執事もメイドも中核だった。
また、同時に女性の賃金労働はメイドしか実質なかった時代でもあった。
資本主義が勃興しながらもかつての封建時代の擬似的な金銭抜きの献身を求めて。
新興のブルジョワジーは使用人通してしか、自分の成功の意味を確証できなかった。
資本主義者が求める封建的人間関係という矛盾。
今のセレブははるかに金や名声を持っていても、決まった服を着るわけでも階級を前提に付き合うわけでもなし。
女性の働くところはいくらでもあり、誰もが金はあっても、献身的に忠誠つくすとかの意味のない現在。

かつての郷愁を伴うそういう文化についての話です。
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