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城 (新潮文庫)
 
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城 (新潮文庫) [文庫]

フランツ カフカ , Franz Kafka , 前田 敬作
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (33件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

測量師のKは深い雪の中に横たわる村に到着するが、仕事を依頼された城の伯爵家からは何の連絡もない。村での生活が始まると、村長に翻弄されたり、正体不明の助手をつけられたり、はては宿屋の酒場で働く女性と同棲する羽目に陥る。しかし、神秘的な“城”は外来者Kに対して永遠にその門を開こうとしない…。職業が人間の唯一の存在形式となった現代人の疎外された姿を抉り出す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

カフカ,フランツ
1883‐1924。オーストリア=ハンガリー帝国領当時のプラハで、ユダヤ人の商家に生る。プラハ大学で法学を修めた後、肺結核で夭折するまで実直に勤めた労働災害保険協会での日々は、官僚機構の冷酷奇怪な幻像を生む土壌となる。生前発表された「変身」、死後注目を集めることになる「審判」「城」等、人間存在の不条理を主題とするシュルレアリスム風の作品群を残している。現代実存主義文学の先駆者

前田 敬作
1921‐2003。大阪・摂津生れ。東京帝大独文科卒。京都大学名誉教授。ゲーテ、カフカ、トーマス・マンなどの訳書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 630ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1971/04)
  • ISBN-10: 4102071024
  • ISBN-13: 978-4102071021
  • 発売日: 1971/04
  • 商品の寸法: 18 x 11 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (33件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
ある町に測量師として雇われて赴任してきたはずのKは、そんな職などないことを宣言され、村中の何もかもから翻弄されるような毎日を送るようになる。すべての指示は城から出ているようなのに、城に近づくこともできなければ、城の人間と話すこともできない。目に見えないヒエラルキー、タブー、暗黙のルールにしたがって行動する村民たち。その中においてKはまさに異物である・・・。

Kの測量師、つまり外から観察する人、という職業の設定がすでにKの存在の危うさを暗示しています。そんな職業を持つ人間が存在するということ自体がすでに何かの間違いなわけです。必要なのは、システムに組み込まれ、働く人であり、見るだけの人など不要なのです。複雑な生い立ちをもちアウトサイダーとして生きることを宿命づけられたカフカ自身の、共同体のシステムに入り込めないことによる悲劇、孤独、疎外感のようなものが、Kというキャラクターを通して体現されているようです。

私的なことはあまり描かれず、すべての登場人物がその職業を通して規定されているというのも現代的です。職業のないものは限りなく無に近い。高度にシステム化された社会における、そんな思想が反映されているようです。何もかもが整理され、すべてがシステム化されていく20世紀初頭の世相を反映してか、硬直したシステムがもたらすであろう暗い未来を見据える視点に、この本の現代的意義があるように思えます。人間が作ったはずのシステムのもつ逆説的な非人間性を喝破しているのが本書ではないでしょうか。

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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
迷宮の旅路 2009/11/8
By
形式:文庫
 「ボルヘスは旅に値する」という言葉があるけど、この「城」も何とも奇妙な旅としての体験を読者に与えるのではないでしょうか。その旅は、奇妙な形をした未完成の迷宮を行くものです。それは冬のモノトーンです。行き止まりの袋小路、何本もの分かれ道、退屈なまっすぐ道、落とし穴、急カーブ、きつい上り坂、下り坂、意味のつかめない標識などでできている迷宮です。それは人生を生きることの謎というか不条理というかでこぼこ道というか、そんなものです。
 カフカは常に消滅にいたる文学と言われます。たぶん、積極的に肯定することはいつまでもできない文学です。しかし、人間が生きていく以上、それは無視できないものとして屹立しています。その点で歴史に残る文学なのでしょう。
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
なかなかのボリュームにもかかわらず、本書で展開される時間はせいぜい一週間足らずである。それというのも、本書のほとんどがダイアローグで構成されているからだ。しかもそれは村の諸々の人々とKとのやりとりなのだが、それぞれ一旦喋り出すといつ果てるともしれずに延々と続いていくため、ダイアローグでありながらある意味でモノローグと言えなくもない。

職業の有無だけでなく、その職業に従事することを公的に、そして世間的に認められることがアイデンティティとなるならば、「周り」の存在なしには「自己」の存在はない。つまり、社会という枠組みの中でしかもはや自分を証明する居場所がないのであり、そこから逸脱してしまった場合、Kやバルナバスのように社会から締め出される。

たいへん残念ながら本書は未完の書である。したがって「城」への門は開かれたままであり、様々な解釈が可能で、そこからどのような結論も導き出すことはできまい。しかしながら、知力に長けたKの当意即妙な反駁や機転の利いた弁明、そしてなによりも訳者の歯切れの良い訳のおかげで、それだけでもたいへん読み応えのある作品となっている。
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装丁の写真 0 2010/11/13
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