関が原の合戦を間近に控えた慶長5年(1600年)、車藤左と名乗る西国牢人が、会津上杉家馬回役・中条左内の屋敷を訪れる。ちょうどそのころ、上杉家にとっては、頭の痛い問題が持ちあがっていた。敵対する隣国伊達家が国境に築城をはじめたというのである。たった一人でその城を落とすと豪語する藤左。左内とともに敵の城を目指す藤左のもとにはやがて、地の利を心得た山賊、火術を扱う堺商人、村を治める巫女といった個性的な人物たちが集結する。
この作品の一番の魅力は、司馬の著作『竜馬がゆく』の坂本竜馬にも引けをとらない藤左のキャラクターにある。突拍子もない作戦で敵をかく乱したかと思うと、あっけなく捕われてしまったりと、藤左の大胆な行動力が物語をテンポよくおし進める。藤左のリーダーシップや、目標に向かって自己を発奮していく姿、トラブルへの対処法などは、現代人にも通じるものであるだろう。ただし司馬は、藤左を英雄としては描いてはいない。息をのむような無常な光景が広がるラストシーンには、司馬の歴史観の原点を見る思いがする。(中島正敏)
登録情報
|
己の理想に従い突っ走る主人公、もたらされる結果、そして歴史という大きな流れ、など現代人にも多くのことを提起しているように思います。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|