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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
美しくも物悲しい豊臣秀頼の生涯,
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レビュー対象商品: 城のなかの人 (角川文庫) (文庫)
秀頼の誕生から壮絶な最期までを描いた表題作がやはり秀逸です。京の屋敷や大坂城という甘く美しい檻の中で育てられたがために、 世の中に悪徳というものが存在することを知らなかった秀頼… という設定で話が進みますが 安易に秀頼を世間知らずで傲慢暗愚な"太閤の愛息"としては描かず むしろ大いに賢人の素質がありながら成長を周囲に阻害された哀人として 描いているあたりに作者の秀頼に対する人物評が伺えます。 長さとしては短編というよりは「中編」程度はあるでしょうか。 しかしダレることなく淡々と(怖いぐらいに)進むストーリーに 一気に引きずり込まれます。 関ヶ原や大坂の陣の大まかな歴史を知っているほうが理解しやすいですが、 歴史小説というよりはひとりの青年の成長譚であり 登場人物の言葉づかいも現代的で分かりやすく 子どもが読んでもわかるような柔らかく易しい言葉になっているので、 若い女性や小学生程度の子供でも手を伸ばしやすいと思います。 話の「オチ」も、よくある秀頼ものの小説から一歩つきぬけ ショート・ショート作家らしい見事な「オチ」をつけているので 悲惨な最期にも関わらず読後感はすっきりとしています。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
歴史を見つめる静かなる目,
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レビュー対象商品: 城のなかの人 (角川文庫) (文庫)
本作はSF作家星新一先生による時代小説集です(もう一つ「殿さまの日」という作品もあります) 「殿さまの日」においては、江戸時代の風俗・事件が写し出されておりましたが 本作では歴史の裏側が描かれており 星先生の歴史を見つめる目の鋭さに感動いたしました。 特に印象的なのが 「城のなかの人」 乱世の悲劇と城への愛情が見事に融合し、深い感動と哀愁をもたらしております。 「すずしい夏」 一つの藩を襲った悲劇が淡々と描かれており その冷徹さが恐怖を深めているように感じました。 (意外性あふれるラストもすごいです!) はんぱもの維新 幕府側から見つめた明治維新を描いておりますが 哀愁や悲劇性を強調せず コミカルに描いているのが印象的でした。
5つ星のうち 4.0
星新一氏による歴史・時代小説,
By モトカ (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 城のなかの人 (角川文庫) (文庫)
星新一氏には、SFショートショートのイメージしかありませんでした。本作で、歴史小説・時代小説も手掛けていることを初めて知りました。 三人称の視点で、淡々とした星氏の文体は、短編歴史小説とは非常に相性が良いように感じました この俯瞰的な感じは良い 「城のなかの人」 豊臣秀頼の生涯を描いた作品 旗印として育てられる秀頼 秀吉の晩年になってからの子の為、秀吉の死の直後には、まだ若すぎた為手腕を発揮することが出来なかった 秀頼は非業の死を遂げるが、悲壮感を感じさせないラストは素晴らしかった 「春風のあげく」 江戸時代を舞台とした時代小説 話がトントン拍子に転がり、ラストに反転するといった典型的な星氏のショート・ショートといった感じで楽しかった 「正雪と弟子」 由井正雪の乱を題材にした話 こちらも星氏の持ち味の活きた作品だった 「すずしい夏」 冷夏による飢饉に苦しむ藩の様子を描いた時代小説 飢饉による負の連鎖や藩の財政を良く見せようとする所など、デフレスパイラルやギリシャ問題を彷彿させる 人の考えること、行動は今も昔もあまり変わらないのかもしれない 「はんぱもの維新」 幕府側の人間・小栗上野介を主人公にすえ、明治維新を描いた作品 改革を断行しようとするが、なかなか周囲の理解が得られず、常に側にいる身辺警護の五助にぼやく姿がユーモラスだった
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