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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
もっと自由で、もっとこころ豊かであっていい,
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レビュー対象商品: 埋もれ木 [DVD] (DVD)
これはかなり大胆な実験作だと思います。全編デジタルビデオ撮り、CGも取り込みですか。そして物語性は、ほぼ一切排除。ただひたすらに山村での出来事が延々と続く...。はっとする印象的な美しいシーンがあるものの、ハッキリ言って『よくわかんない』というのが本当のところです。で、パンフを買ってその中で、『時間の流れ』『現実』『夢・希望』が混然となってファンタジーな世界が開けて行く、という図式解説があった。それで、やっと合点がいった。 時代は移り変わり、人々の生活も変わる。美しさの基準も変わり、自分らしさも変わる。しかし、自分を育ててきた想い出は変わらない。愛すべき人々がいたことは変わらない。守るべき世界があったことは、変わらない。それは、記憶のなかに潜む埋もれ木のように、誰にも見えないところで、いまの自分をしっかり支えている。時として、そんな深い記憶の森の中に沈めば、自分が守るべきもののありかを、もう一度確かめられるかも。この映画は、そんな記憶の断片ばかりをより集め、さびれた郷愁も明日を生きる力に変わることを、確かめようとしているのかも、しれない。 それにしても、美しい。回り舞台、水たまりに映るトラックに描かれたクジラ、森の中で妖精のように飛ぶ子供たち、そして、「埋もれ木」を映す地底の森シーンがまた凄い。そして、カーニバルで紙灯篭のクジラ、赤い馬が空に浮かぶ...。美しいです。これだけ美しい映像というのはなかなか出会えないんじゃないかと思います。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
耳をすまし、凝視する世界の「夢」,
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レビュー対象商品: 埋もれ木 [DVD] (DVD)
この映画の「ファンタジー」という言葉に誤解が生じるとすれば、それは観客側の固定観念としての「ファンタジー」を見つめ直すという意味で、もっぱら自らに挑戦すべきものであるものだからだ。幾多の映画を観て、登場する主人公に寄り添い、展開される場面、心情を、疑似体験して楽しむことを期待しても提供されない欲求不満でもあるだろう。しかしこの映画を幸いに体験する観客にとって、それは映画を見るという意味の問い直し、習慣化した姿勢、概念の解体でもある。たとえば映画を観て、楽しみ、おもしろがり、興奮し、映画館を出て行楽地から帰る時のようにぐったりし、ぼんやりし、現実の日常が色褪せて見えるなら、それはぼくらが娯楽と言う麻薬を味わったのである。 しかし「埋もれ木」を観終った後、日常の光景、できごとが、たとえば台所で皿を洗う時、皿のぶつかりあう音は生き生きと聴こえ、自身の手の動きを不思議に思うかもしれない。または蛇口から流れる水の音に耳をすますかもしれない。そこに生活の細部に気づかれずに眠っている驚きがあることを。それはなんと、ふだんの日常のなかに「ファンタジー」は埋もれていたということに気づかされる瞬間だ。デコレートされた魅力的な作り物を与えられ、物語「ファンタジー」を掘り出す力を失ったぼくらには、自らの現在の地層から、それを能動的に掘り起こす作業、決意が必要なのだろう。 この映画は「ファンタジー」を創造する能動的な力を誘発しようと働きかけるが、かといって襟をただし緊張して観なくちゃいけないということではない。 それは、たとえば河合隼雄さんがクライアントに対するときの聴き手としての姿勢のように、「いわば、ぼーっと・ただ聴く・しかし身体ごと聴いている」とも表現される受動的な状態で、観客はいたってくつろいで鑑賞すべきものであり、耳をすまし静かに見つめることがただただ必要とされることなのだ。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「眠る男」から深化した作品,
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レビュー対象商品: 埋もれ木 [DVD] (DVD)
人によってかなり意見が分かれる映画。それほど、観ている側の感覚に委ねられていると同時に、観る者のあり方を容赦なく問われる。 エンターテイメント・娯楽という言葉だけが先走り、ストーリーだけでなく、そこで受ける感覚すらもコントロールしようとする映画が多く、かつそれら全てを与えられることに慣れてしまっている観衆もまた多い昨今だからこそ、とても貴重な映画である。 我々の日常は決してドラマティックではなく、むしろ淡々と過ぎてゆく。 この映画も、そんな日常が淡々と描かれており、それを究極ともいうべき映像美でまとめている。 「眠る男」から深化したと言えるこの映像世界は、もはや他の追随を許さない。 映画とは一元的に語れるものではなく、もっと広く、そして深いものだということを語りかけられているようでもある。 幼稚なまでの分かりやすさが行き過ぎて、単純化・短絡化の中に映画の深さが失われていく中、こんな映画があっていい。
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