1960年代後半の地方の高校(九州は福岡県内の高校をイメージして、私は読んでいます)を舞台に、転校してきた西見 薫と川渕千太郎の友情と恋を描いてゆく青春漫画。その当時のなつかしい空気が立ち上ってくる絵柄の中に、男ふたりの同級生の友情が生き生きと、それはもう切なくなるほどに生き生きと描き出されていて、胸がぎゅっと締め付けられます。
本巻では、仲たがいしていたふたりの気持ちが歩み寄り、今まで以上に信頼関係が強固なものとなるシーンがよかったなあ。そこから、薫と千太郎ふたりのジャム・セッションへとなだれ込む場面は圧巻、怒涛の名シーン。激しく心が揺さぶられました。
作家の長嶋 有による、本の帯の文章も上手いですね。<どこまでも王道の少女漫画でありながら、二人の友情はすぐれて少年漫画的、稀有な両立がここにはある。>というもの。この漫画の魅力の核を衝いて、言い得て妙というしかないっす。
巻末の掌篇「天井娘(てんじょうむすめ)」、これがまた心あたたまる一品で、よかったー。チャーハン食べてるとき、実に幸せそうな表情を登場人物のひとりが見せるひとコマがあって、それがとってもいいんですよね。同じ著者の“チャーハン出てくるシーン”では、「川面のファミリア」(『
光の海 (フラワーコミックス)』所収)、あれもハートウォーミングで素敵な作品だったな。
著者の漫画をとりあえず何かひとつ、読んでみっかなとゆう方には、『
羽衣ミシン (フラワーコミックス)』をおすすめします。鶴の恩返しならぬ白鳥の恩返しを描いて、胸熱くなる恋の物語に織り上げています。こちらも、ぜひ!